2023年の5月に5類感染症扱いとなったことで、2020年初からのいわゆる「コロナ禍」も一区切りを迎えたといえます。世界は「パンデミック」を経験し、株式市場も「コロナ・ショック」という暴落を経験しました。このような異常事態において、株式投資家はどのような売買をするのがベストだったでしょうか? 今後似たような事態が起きた際の参考にするため、このタイミングで分析してみましょう。
コロナ禍の株式投資を振り返る…「異常事態の相場」ではどのような売買がベストか?【株式投資のプロによる具体的な回答】 (※写真はイメージです/PIXTA)

各局面と日経平均株価の動向

それではまず、コロナ禍の始まりからの出来事と、そのあいだの日経平均株価の推移を見ていきましょう。

 

出来事

2019年12月:中国の武漢市で新型コロナウイルス1例目の感染者が報告される
2020年1月:日本国内で1例目の感染者が報告される
2020年4月:1回目の「緊急事態宣言」
2020年7月:「Go To トラベル」スタート、2021年1月までにすべてが中断・終了
2021年4月:1回目の「まん延防止等重点措置」
2021年9月:最後の「緊急事態宣言」終了
2022年3月:最後の「まん延防止等重点措置」終了
2023年3月:推奨されていたマスク着用が任意となる
2023年5月:2類から5類感染症に移行

 

日経平均株価推移

2019年12月30日:2万3,656.02円
2020年1月31日:2万3,205.18円
2020年3月17日:1万6,552.83円
2020年6月5日:2万2,863.73円
2021年2月19日:3万17.92円
2022年12月30日:2万6,094.50円
2023年3月31日:2万8,041.48円
2023年6月16日:3万3,706.08円

 

2019年末の時点で世界初の感染者が報告され、2020年の1月には国内での感染者も報告されています。しかし、それでも1月末時点での株価は、それまでとそう変わってはいませんでした。

 

ところが、そこから感染が拡大し、一気に株価は下落。3月17日には1万6,552.83円まで下がります。これは1月末から比べると30%近い下落でした。

 

しかし、その後の株価は急回復。6月にはほぼもとの水準に戻ったうえ、2021年2月には3万円を超えるまでになりました。そして2021年から2022年にかけては結局、株価は横ばいからやや下落という動きを見せていました。

 

その後、コロナ禍の終息ムードが漂ってきた2023年春ごろから再び株価は上昇基調に。再度3万円を超えると、6日16日には3万3,706.08円となっています。

コロナの影響で株価が動いたと思われる「唯一の時期」

コロナ禍のあいだ、感染拡大防止と経済停滞防止のために様々な政策が実行されましたが、感染者は結局、増える時期と減る時期を繰り返してきました。

 

そして株価も、基本的には上下を繰り返していました。ちなみにそれは、コロナ感染者数の増減とは関係のなさそうな動きを見せていました。コロナ禍でないときと変わらなかった、といえそうです。

 

ただし、明らかにコロナの影響で株価が動いたと思われる時期があります。それは感染拡大初期の暴落の時期です。当時は、未知のウイルスへの恐怖、ライフスタイルの変化による経済悪化への不安、生産ラインの停滞による供給不足への不安などがあり、「この先どうなってしまうのか」という雰囲気が漂っていました。ですから、株も売られて当然だったのかもしれません。株式市場はパニックに陥っていたのです。

 

個別株を考えれば確かに、人々のライフスタイルが変わってしまい、その後何年も業績不振が続き株価ももとに戻らない会社があったでしょう。しかしそうでない会社の場合、この時期はまさに「パニック」によって株価が過剰に下落していたのではないでしょうか。そして、この時期こそが唯一、コロナによって株式市場全体が影響を受けた時期だといえそうです。

 

なお、そんなパニックが一段落して収まったのか、政府の財政出動や金融緩和が効いたのかはわかりませんが、そのあと株価は急回復します。