世の中、学歴ではないといわれて久しいですが、社会人の多くが実感しているのは、なんだかんだいって「学歴はすごく大事」だということ。だから我が子には、少しでも“良い学校”に行くために何でもしてあげたいと思うのでしょう。そんな親の思いから中学受験への関心は高まるばかりです。なかでも「中学受験するのが当たり前」といわれる東京都23区。最新の私立中学受験率をみていきましょう。
東京都23区「私立中学進学率」最新ランキング…1位と23位の「受験格差」わずかに縮小も、結局は「親の収入」か? (※写真はイメージです/PIXTA)

高まる一方の東京23区の「中学受験熱」だが…結局は親の収入次第⁉

続いて2位は「東京都中央区」で卒業生1,224人に対して、私立中学進学者は528人。進学率は43.14%で、昨年より0.5ポイントほどアップ。順位もひとつ上げました。区内にある私立中学校は開智日本橋学園中学校のみですが、交通利便性では23区内でも指折りの地域なので、区外のさまざまな私立中学校が志望校となるでしょう。またアルマーニの制服で話題となった「泰明小学校」や、「ブルガリ ホテル 東京」が入る「東京ミッドタウン八重洲」に併設される、通称「ブルガリ小学校」ともいわれる「城東小学校」など、区域外からの入学希望者も多い公立小学校が点在。また近年は「晴海フラッグ」に代表される臨海部の開発が盛んで、教育熱の高いファミリー層が転居。中学受験熱は一層、高まっています。

 

そして1位は「東京都文京区」で、卒業生1,598人に対し、私立中学進学者は791人。進学率は49.50%と、昨年とほぼ変わらず。順位も「東京23区NO.1」の常連で、区内には女子御三家の「桜蔭中学校」のほか、「筑波大学附属中学校」「東京都立小石川中等教育学校」「お茶の水女子大学附属中学校」「東京学芸大附属竹早中学校」と、人気の公立中高一貫校や国立名門附属中学校が多く点在。さらに東京大学のほか、東京医科歯科大学、お茶の水女子大学といった名門国立大学も立地。自然と教育熱が高まる地域といえるでしょう。

 

一方で23区中、最も私立中学進学率が低かったのは「東京都江戸川区」。卒業生5,672人に対し、私立中学進学者は650人。進学率は11.46%で、1位との差は38.0ポイントにもなります。ただ江戸川区の進学率は昨年10.27%から1ポイント以上もアップ。単年の結果なのでなんともいえませんが、東京、なかでも都心域で加熱する中学受験熱は郊外にも波及していくのかもしれません。今後に注目です(関連記事:『東京23区「私立中学進学率」ランキング1~23位…<令和5年度公立学校統計調査報告書> 』)。

 

同じ東京23区とはいえ、進学格差はかなりのもの。その理由のひとつが、まずはロケーション。23区中最下位となった江戸川区は、区内南北の移動が不便で、実際に通学となると志望校は限られてきます。通学のしやすさを考慮すると、学校が多く集まる都心域のほうがアドバンテージは大きいといえるでしょう。

 

そしてなんといっても親の年収を語らずにはいられません。受験に挑むために学習塾代はもちろん、進学した後の学費も私立は公立の倍以上。経済的に余裕がないと、なかなか中学受験を考えることはできません。私立中学進学率1位の「文京区」は、23区会社員の年収ランキングでは6位。進学率2位の「中央区」は4位、進学率3位の「港区」は1位です。いずれも年収ランキングでも上位に入り、納得の結果といったところです(関連記事:『東京23区「会社員の給与」ランキング…年収1~23位<令和4年度課税標準額段階別所得割額等に関する調>』より)。