(※画像はイメージです/PIXTA)

生命保険文化センター「生活保障に関する調査(令和4年度)」では、回答者の82.2%が自分の老後に「不安感あり」としています。もっとも、医師をはじめとした高所得者には無縁の心配事だと考える人は多いでしょう。しかし、たとえ現役時代に高所得であっても、老後破産リスクは潜んでいると、FP officeの中洞智絵FPはいいます。意外と多い「開業医の老後破産」について、みていきましょう。

公的制度だけでは足りない?老後のためにできる対策

さて、ここで上記1~4をそれぞれのルールに則りすべて実践した場合、それだけで老後の生活は足りるのでしょうか?

 

たとえば、国民年金基金かiDeCoのどちらか、あるいは両方に加入し、限度額の月額6万8,000円を積み立てた場合を考えてみます。30年間0%で運用した場合、積立額は2,448万円です。

 

他方、同じ額を30年間、5%で運用した場合は3,982万9,947円となります。これを20年で分割して受け取ると、金額はそれぞれ下記のようになります。

 

■0%運用の場合

……国民年金6万5,000円+10万2,000円=月16万7,000円

■5%運用の場合

……国民年金6万5,000円+16万5,958円=月23万0,958円

 

選択した制度によって老後受け取れる金額に約1,400万円もの差があることをまず確認しておきたいですが、それに加えて、どちらにしろ6万8,000円を積み立てただけでは、現在の収入と比べて、かなり大きな差があることがわかります。

 

これだけでは、現在の生活水準を保つことは難しいでしょう。また、ムリに生活水準を維持した場合、もしかすると現在の住まいに住み続けられなくなることも考えられます。

 

つまり、国の制度をフル活用するだけでは、現在の収入との差を埋め、ご自身の“理想の老後”を過ごすだけの年金額を受け取ることは難しいです。したがって「人生で一番若い日である今日」から、自助努力として「自分の退職金をつくる」ことが必要不可欠だといえるでしょう。

 

株や投資信託、FX、保険、外貨積立、不動産投資と、多様な資金形成方法があり、また医師には日々さまざまな投資話が持ち掛けられると聞きます。ただ、自身のライフプランや理想の老後に向け、どれが自分に合った方法なのか、どれを組み合わせるのがもっとも効果的なのかは、人によって異なるでしょう。

 

無駄のない老後資金づくりのためには、ファイナンシャルプランナーなど、信用できる外部の専門家の知見を活用し、今後の自身のライフプランを考慮して、慎重に判断して準備を進めることが大切です。

 

 

中洞 智絵

FP Office株式会社

ファイナンシャルプランナー

 

【関連記事】

■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】

 

■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】

 

■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ

 

■入所一時金が1000万円を超える…「介護破産」の闇を知る

 

■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走