年を重ねるとに従い、身体はだんだんと自由がきかなくなり、介護が必要になる場合も。「家族に迷惑をかけたくない」と老人ホームへの入居を決める人もいるでしょう。しかし本心は……みていきましょう。
「老人ホーム」5年入居の80歳母「家に帰りたい」とポツリ…月収59万円・50代長男が下した大英断 (※写真はイメージです/PIXTA)

在宅介護…介護者の1割が「このまま働き続けるのは無理」

仕事との両立は難しいイメージのある在宅介護。その実態について『在宅介護実態調査結果の分析に関する調査研究事業【報告書】』でみていきましょう。

 

*厚生労働省 令和2年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業

 

「主な介護者と本人との関係」で最多となるのは「子」で47.8%。「配偶者」29.6%、「子の配偶者」13.8%と続きます。また性別でみると「女性」が65.5%、「男性」29.6%と、家族の中でも女性に介護の負荷はかかる傾向にあります。また介護者の年齢で最多となるのは「60代」で31.8%。「50代」24.2%、「70代」19.5%とつづきます。

 

では在宅介護において、実際にどのような介護を行っているのでしょうか。最多は「掃除、洗濯、買い物等の家事」で78.8%。「食事の準備(調理等)」69.9%、「外出の付き添い、送迎等」68.2%、「金銭管理や生活面に必要な諸手続き」68.0%、とつづきます。

 

また「介護保険サービスの利用の有無」では、「利用している」が7割。一方で「保険適用外」の支援・サービスの利用率はおよそ3割。最多は「配食」で全体の8.5%で、「移送サービス」「外出動向」「掃除・洗濯」とつづきます。

 

「働き続けることの可否」については、12%が「難しい(「やや難しい」「かなり難しい」の合計)」と回答。また在宅介護継続の不安で最も多いのが「認知症状への対応」で27.5%、「夜間の排泄」「外出の付き添い、送迎」と続きます。報告書では、「訪問系サービスの利用」により、介護者の「認知症状への対応」「夜間の排泄」の不安が軽減されるといっています。

 

在宅介護では、介護者が孤立無援になりがち。介護保険サービスのほか、保険適用外のサービスも利用しながら負担の軽減を図ることが、“共倒れ”を防ぐ方法のひとつです。