遺伝的要因を受け継いでも、腰痛を発症させないことはできる
そうは言っても、親が腰痛だからといって、子どもも必ず腰痛になるわけではありません。確かに遺伝的要因は発症の引き金になりますが、必ずしもそれだけで発症するわけではありません。裏返せば、「親が腰痛でも、発症を防ぐ手段はある」ということ。
一体どんな点に気をつければ良いのでしょうか。
腰痛時に安静は過去の話?腰痛を予防するためには
第一に気をつけなければならないのが、「肥満」と「喫煙」です。喫煙については前述の通り。腰痛を発症させたくなければ、速やかに禁煙することをおすすめします。
第二に、肥満傾向にある場合には、腰への負担を軽減するため、減量をおすすめします。
これらに加え、運動不足にも注意が必要です。腰周辺の筋肉量が減少することで、背骨をまっすぐ支える力が低下してしまいます。
すると、ますます腰に負担がかかってしまい、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症が悪化。腰が痛い→運動をしたくない→筋肉量が低下する→ますます腰が痛くなる、という悪循環に陥ってしまうのです。
腰が痛いときには安静にしておいた方がいいと言われていたのは、過去の話。慢性的な腰痛があっても、運動をすることで症状が軽減したり、痛みや痺れなどの症状が強くったりしないのであれば、適度な運動は必要です。
ただし、歩いたり走ったり、痛み止めを飲まなければ過ごせなかったりするほどの痛みがあるときは、避けた方が良いこともあるので、判断に迷うときは、医師の診察を受けてください。
背筋、インナーマッスル、腹筋を同時に鍛える1分トレーニング
それでは一体、どのような運動を行うのが良いのでしょう。ポイントは、背筋です。背筋が衰えると猫背になるなど姿勢が悪くなり、腰に負担をかけてしまいます。
しかし、トレーニングをしたことがある方ならわかると思いますが、腹筋を鍛えるのは簡単でも背筋を鍛えるのは難しく、トレーニング中もなかなか意識を向けにくい部位です。
しかし、腹筋は鍛えやすく、トレーニング効果が目にみえやすいという理由で腹筋ばかりを鍛えると、腹筋と背筋のバランスが崩れ、ますます腰痛が悪化してしまうのです。腰痛改善のポイントは、腹筋と背筋のバランスです。
そして、背筋の中でも特に鍛えたいのが、多裂筋と脊柱起立筋です。この2つの筋肉を同時に鍛えるには、下記のトレーニングがおすすめです。椅子に座ったままでもできるので、デスクワークの休憩時間などを活用し、日常的に行うことを習慣化してみましょう。
このとき、呼吸は「ドローイング」をキープしましょう。ドローイングとは、呼吸に合わせてお腹を凹ませたり膨らませたりしながら、体幹や腹筋を鍛えるトレーニング。姿勢や腰痛の改善が期待できます。
腰痛を抱えると日常生活に支障が生じ、QOLも著しく低下してしまいます。しかし、普段のちょっとした心がけで腰痛を防ぐことは可能です。ぜひこうしたトレーニングを1回1分程度、行ってみましょう。腰痛を予防できるだけでなく、お腹周りがスッキリしたり、呼吸が深くなってリラックスできたり、メリットもたくさんあります。
遺伝的な理由で腰痛を引き起こしてしまうかどうかは、生活習慣によって変わってきます。ぜひこの機会に見直してみてください。
越宗 幸一郎
横浜町田関節脊椎病院
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
■恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
■47都道府県「NHK受信料不払いランキング」東京・大阪・沖縄がワーストを爆走