「学生納付特例制度」よくある勘違いが生む「残念な悲劇」
学生で保険料の納付が厳しいなら、保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」の利用を検討したいところ。大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校など、ほとんどの学生が対象となり、所得条件もありますが、基本的に扶養される立場であれば基準はクリアできるはずです。
将来、国民年金(老齢基礎年金)を受け取るためには10年以上の保険料の納付期間が必要ですが、「学生納付特例制度」の承認を受けた期間はこの10年に含まれます。ただし、注意が必要なのは、年金を算出する際の対象となる期間には含まれないということ、つまり保険料の未納と同じだということです。
たとえば、大学2年生となった4月に20歳を迎えた男子学生。3年間にわたり「学生納付特例制度」を利用したとしましょう。このままでは36ヵ月分が減額されることになります。
2023年度、満額受給額は79万5,000円なので、将来受け取れるのは「79万5,000円×444÷480」で73万5,375円となり、「1年で5万9,625円」年金が減るということになります。5年で30万円ほど、10年で60万円ほど、20年で120万円ほど……老後の生活を支える公的年金、できれば1円でも多くもらいたいところ。1年で6万円ほどの差はかなり痛いでしょう。
あくまでも「学生納付特例制度」は、保険料の納付が猶予される制度。猶予期間の間の保険料を払わないと、満額受給とはなりません。10年以内であれば保険料をさかのぼって納めることができ、さらに社会保険料控除により、所得税・住民税の軽減も。さらに一定の要件を満たした場合、60歳から65歳までの間に国民年金に任意加入するという方法も。36ヵ月分納付できれば、満額受給できます。
ーー国民年金保険料、払わなくてもいいんでしょ
「学生納付特例制度」を「国民年金保険料の納付が免除される制度」だと勘違いしているケースは多く、将来「あれっ、年金が少ないぞ⁉」という残念な結果になる恐れも。追納を忘れた人でも、任意加入でリカバリーできるので、老後のためにも満額受給を目指したいところです。