老人ホームへの入居を検討する際、まっさきに考えたいのが費用面。自身の年金と預貯金で賄えることを前提に施設を比較・検討していきますが、めでたく入居が決まったとしても、果たして想定通りにいくかどうか……みていきましょう。
年金月10万円・82歳母の「老人ホーム請求額」に怯える娘「寿命が尽きるが先か、貯金が尽きるか先か」 (※写真はイメージです/PIXTA)

母娘の皮算用「10年くらいは年金と預貯金で払えるが…」

老人ホームへの入居を検討する場合、充てにするのは自身の年金と預貯金。厚生労働省の調査によると、厚生年金受給者の平均受給額は男性で月17万円、女性で10万円程度です。初期費用となる入居一時金は貯蓄で賄うとして、月額利用料はまずは年金、そして足りない分は預貯金を取り崩しての対応となるでしょう。施設への入居期間は平均5~6年といわれているので、そこからトータルコストを逆算。それを基に施設を検討します。

 

しかし、人生、想定通りにいくかは未知数。もし想定以上にコストがかさんだら、入居者の家族が負担するのが一般的です。

 

母が有料老人ホームに入居しているという50代女性。月々の利用料は15万円程度で、母の年金は月10万円程度。毎月5万円ほど赤字となり、母の貯金を取り崩して何とかやっているといいます。

 

――計算上、10年くらいは大丈夫

 

入居前、そんな会話を母娘でしたといいます。現在、母は82歳。いまさらながら「90歳を超えて長生きすることなどよく耳にする話だから、もっと余裕のある施設を選べばよかった」と後悔することも。子どもの学費もあるし、自身の老後のこともある。とても赤字分を補填してあげることは難しいし、この物価高のなか、利用料が値上げとなってしまっては、さらに状況は厳しくなることは明らか。母の長生きを願いつつも、将来の不安は付きまとう……何とも言えない日々を過ごしているといいます。

 

厚生労働省『令和3年 簡易生命表』によると、80歳女性の平均余命は12.12歳。85歳では8.60歳、90歳では5.74歳。ただこれもあくまでも「平均」。人生100年時代というのも大げさではなくなってきた昨今、十分すぎるほど余裕をもって準備をしておくことが肝心です。