いま住んでいる住宅に不満を抱いたことがある人もいるのではないでしょうか。日本と中国、どちらの国でも「遮音性」が低いことへの不満が多いようです。本稿では、ニッセイ基礎研究所の胡笳氏が、日中住宅の「遮音性」が低い原因と簡易的な「防音対策」の方法について解説します。
遮音性に対する高い不満度、日中住宅の共通問題 (写真はイメージです/PIXTA)

遮音性をアップする方法は?

住宅の防音対策の基本は、室内や屋外の音を遮断することである。騒音トラブルを防ぐため、自ら床・壁・天井を二重構造にすることや、排水管に防音材を巻くなどの対策を講じる人もいる。

 

居住者ができる簡易な対策として、厚手の防音シートや防音カーペットを床や壁に敷くこと、ドアや窓からの音漏れに防音テープを貼ることが挙げられる。さらに、窓全体を遮音カーテンで覆うと、音漏れの心配は減るだろう。これらの材料はホームセンターや通販サイトなどから比較的簡単に入手でき、手軽に防音アップの効果を得られる。

 

賃貸住宅の断熱性向上や遮音対策のための大家向けガイドブック持ち家や賃貸住宅の所有者には、遮音改修を行うのが効果的である。遮音改修を行えば、木造住宅でも十分な遮音性能を得られることができる。

 

さらに、床、壁、天井に断熱材を充填したことで、断熱性が向上したとともに、上下階(床・天井)や隣戸間の遮音性も向上できる。これらの方法を組み合わせて遮音性を向上させることで、快適な住環境を実現できる。

 

条件が合う改修ができれば、申請できる助成金もある。そこで参考にしてほしいのが、国土交通省の補助事業12でニッセイ基礎研究所13が作成した、「賃貸住宅の断熱性向上や遮音対策のための大家向けガイドブック」である。

 

これは賃貸住宅の大家向けに作成したもので、賃貸住宅の遮音改修事例を掲載している他、持ち家も対象となる補助制度や参考になるお役立情報、相談窓口も参照できる。入居者から騒音のクレームを受けている大家、騒音に悩んでいる持ち家居住者などに是非ご覧いただきたい。

 

賃貸住宅の断熱性向上や遮音対策のための大家向けガイドブック(A4版)

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001624284.pdf

 

※ガイドブックのA3版およびその他の関連情報は以下をご覧ください。

国土交通省「民間賃貸住宅」のページ

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000016.html

 


12 令和4年度住宅市場整備推進等事業費補助金(共生社会実現に向けた住宅セーフティネット機能強化・推進事業(民間賃貸住宅計画修繕普及事業(断熱性能向上・遮音対策改修普及支援等事業)))

13 筆者の他、社会研究部 塩澤誠一郎 都市政策調査室長、島田壮一郎 研究員が担当した。