10月下旬には「ハロウィン」が控えていますが、この時期に毎年発売される「ハロウィンジャンボ宝くじ」を楽しみにしている人もいるのではないでしょうか。本稿では、ニッセイ基礎研究所の篠原拓也氏が、「ハロウィンジャンボ宝くじ」の今年からの変更点を分析し、その特徴について解説します。
ハロウィンジャンボの楽しみ2023-一攫千金のドキドキ感か、100万円以上当せんのワクワク感か (写真はイメージです/PIXTA)

◇当せん金の平均受取額はくじの発売額の半分以下とすることが法律で定められている

このうち、まず(5)の当せん金の平均受取額について少し確認しておこう。

 

宝くじは1枚300円だが、当せんすれば、それ以上の金額を受け取ることができる。当せんしなければ、もちろん当せん金は受け取れない。それでは、当せんする場合としない場合をすべて考えたときに、当せん金はどれぐらい受け取れるか──それが、当せん金の平均受取額だ。

 

ある等の当せん金と当せん確率を掛け算すると、その等の当せん金の平均受取額となる。例えば、1等の場合、当せん金3億円と当せん確率0.00001%を掛け算して、1等の当せん金の平均受取額は30円といった具合いだ。これをすべての等で合計すると、くじ全体の当せん金の平均受取額が計算できる。

 

今回のハロウィンジャンボの場合、くじ全体の当せん金の平均受取額を計算してみると140.99円となった。これは、1枚300円のくじの半分以下だ。実は、宝くじでは、この当せん金の金額は発売額の半分以下とすることが、当せん金付証票法という法律で定められている。

 

当せん金付証票法(昭和二十三年法律第百四十四号)

 

第五条(当せん金付証票の当せん金品の限度) 第一項

 

当せん金付証票の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の五割に相当する額(加算型当せん金付証票にあつては、その額に加算金(第二条第二項の加算金をいう。以下同じ。)の額を加えた額)をこえてはならない。

 

つまり、今回のハロウィンジャンボ宝くじでいえば、平均受取額はくじの発売額(300円)の半分以下ということになる。宝くじで当せんして儲けようとしても、そう簡単にはできないわけだ。

◇ジャンボは100万円以上の当せん本数が2倍に増加

続いて、ハロウィンジャンボの変更内容を詳しく見てみよう。(1)の2等の当せん本数5倍増と、(2)の3等の当せん本数倍増を、(3)の4等1.8万本なくすことの間で振り替え。(3)の4等の残り0.2万本をなくすことは平均受取額の2円減少につながっている。

 

これにより、(4)の通り、1ユニットあたりの当せん本数は減少となる。その代わり、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、1ユニットあたり、昨年の105本から今年は213本へと2倍に増加する。

 

実は、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、昨年、1.9倍に増加していた。2年連続で2倍前後の増加することになり、高額当せんに大きく比重を傾けたくじとなっている。

 

ハロウィンジャンボは、平均して、くじを4万6949枚買うと、当せん金100万円以上の当せんが1本出る形となっている。その際、これらのくじから平均的に、4等が469本(当せん金140万7,000円)、5等が4694本(同140万8,200円)当たるので、合わせると、当せん金の受け取りは、平均381万5,200円に達する。

 

ただし、そのためには、くじの購入代金として1,408万4,700円が必要となる。平均的には、1,000万円以上の持ち出しとなるので注意が必要だ。

 

ハロウィンジャンボは、本命の「1等前後賞合わせて5億円」の超高額当せんとともに、2等1,000万円や、3等100万円の当せんに照準を合わせた、高額当せん金狙いの宝くじと位置づけられそうだ。