高齢化で認知症患者増加…2050年代に訪れる恐ろしい未来
今後も加速していく高齢化。それに伴う問題としていわれているのが「2025年問題」「2040年問題」「2054年問題」です。
「2025年問題」は、団塊世代のすべてが75歳以上の後期高齢者となることで起こる、社会保険費の負担増や働き手不足などの諸問題のこと。「2040年問題」は少子化による急速な人口減少と高齢者人口がピークに達することで、日本が直面すると考えられている諸問題。「2054年問題」は生産年齢人口が減少する反面、75歳以上の人口が2054年まで増え続けるという問題です。
いずれも、日本の人口の構造において大きな転換期になるといわれている年で、確実に「これらの年に大問題が起きる!」というものではありません。ただ何の対策もしなければ、ただ日本社会が崩壊していく姿を見届けることになります。最近、やたらと「異次元の少子化対策」などと躍起になっているのは、そのためです。
直近の2025年までは、あと1年あまり。そのなかでも大きな問題とされているのが「認知症患者の増加」です。『日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究』(平成26年度厚生労働科学研究費補助金特別研究事業九州大学二宮教授)によると、2025年、認知症患者は675万~730万人、高齢者に占める割合は18.5~20.0%と推計しました。高齢者の5人に1人は認知症という時代が、あと1年足らずで訪れるということです。
本研究では、2030年には830万人(高齢者の22.5%)、2040年には953万人(24.6%)、2050年には1,016万人(27.0%)、2060年には1,154万人(33.3%)になるとしています(いずれも各年齢の認知症有病 率が上昇する場合の 将来推計人数)。2050年代には日本の人口は1億人を下回るといわれていますから、このとき「日本人の10人に1人は認知症」ということになります。なんともすごい社会になっているわけです(図表)。
あくまでも最悪の場合を想定したものですが、認知症患者の増加に伴い、家族だけでは対応できず、施設を頼るケースも増えていくでしょう。しかし、介護業界では慢性的な人手不足。人が足りないため入所数を抑える施設も多いといいます。そんな問題を解決しようと待遇改善などを進めていますが、成果が出ているとは言い難い状況です。
認知症の家族を施設に入所させたい、でも受け入れてくれる施設がない……介護難民が格段と増え、患者本人も家族も共倒れ。そんな未来が迫っています。