運動器(骨・関節・筋肉・神経など)の障害によって移動機能が低下する「ロコモティブシンドローム(通称ロコモ)」は、高齢者に多い疾患です。しかし、近年では「小・中学生」にも増えてきていると、東京西徳洲会病院小児医療センターの秋谷進医師が警鐘を鳴らします。「ロコモティブシンドローム」の具体的な症状と、自宅でできる治療・予防法をみていきましょう。
5秒以上「片足立ちできない子ども」は不健康!?…近年増えている「子どもの疾患」自宅でできる治療法【医師が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

1つ目の問題…食べ過ぎによる肥満など「生活習慣の乱れ」から来る運動不足

これは想像に難くないしょう。体脂肪率が多い子どもや、テレビをみている時間が多い子どもがロコモティブシンドロームになりやすいのはまさに、肥満や運動不足から来ているものと考えられます。

 

昔は大家族が主体でした。そのため、親が忙しい場合でも誰かが子どもの面倒をみて、家族が子どもの食事面などを監督しながら、食事や運動の基礎を自然に身に着けていました。

 

しかし食事面では、核家族化が進み、両親が共働きとなり3食をしっかり食べるという習慣が薄まってきているのです。

 

さらに、子どもと親が一緒に公園で遊ぶという場面も少なくなり、ゲームが普及しいつでも携帯ゲームができるようになり、さらにYoutubeをはじめ色々な動画コンテンツが手軽に楽しめるようになりました。体を使って遊ばなくても時間をつぶせる手段が色々出てきてしまったのです。

 

そのため、肥満や運動不足による子どものロコモティブシンドロームが増えたというわけですね。

 

2つ目の問題…低栄養・痩せ過ぎによるロコモティブシンドローム

ロコモティブシンドロームは、栄養過多・運動不足で太る子だけの問題ではありません。偏り間違ったセルフイメージにより意識的にロコモティブシンドロームを作ってしまっているパターンも存在するのです。

 

最近はSNSで「異常にやせている」女優やインフルエンサーが好まれるようになりました。それに伴い、メタボに対する誤解もあり痩せることが良いことだとして、骨量を蓄えなければならない小学生高学年にまでダイエットが入りこむようになってきました。

 

こうした傾向はとくにSNSなどを乱す高学年に多いこともあり、「年齢が進んでいる子ども」「身長が高い子ども」ほどロコモティブシンドロームになりやすくなったといえます。

 

近年気軽にいろんな情報が見られるようになったからこそ、こうした「太りやすい環境」と「やせすぎる間違ったセルフイメージ」という両極端になりやすい状況が生まれてきており、それが「子どものロコモティブシンドローム」の増加につながっていると考えられています。