なぜ海外は合法化しているのに日本はダメなのか
これは、合法化するメリットが日本にはないことが最も大きいと考えられます。
そもそも諸外国で大麻が合法化したのは、大麻が安全で蔓延しても問題ない成分であることがわかったから、というわけではありません。
合法化された国ではもともと反社会勢力による大麻の売買が問題になっており、大麻の使用率がそれなりに高い地域が存在し、かつ大麻の売買によりそれらの反社会勢力に金銭が流れていたという背景があったのです。そのため、大麻を合法化して国が管理することで大麻関連の金が反社会勢力に流れないようにしたのです。大麻蔓延のダメージより反社会性力の資金を断つというメリットが上回ることから合法化されたと考えていいでしょう。ここで、G7における大麻の規制状況について[表2]にまとめました。
また、明るみに出ないお金の流れを警察白書に基づいて[表3]に作成しました。
日本では古くから大麻については規制がなされており、使用率も高くないため、ここで合法化すると大麻使用率が急上昇し、大麻蔓延のデメリットが非常に大きく、国全体に大きな問題を起こす可能性が極めて高くなります。
海外で合法化されたからといって安全と思って大麻を吸うのは非常に愚かな行為であると言わざるを得ません。
まとめ…「大麻はそんなに有害ではない」を鵜呑みにしてはいけない
海外で合法化されたことで、大麻の有害性を過小評価するような記載がインターネットで散見されます。しかし、それぞれの国にはそれぞれの国における事情があるため、大麻が海外で吸われているといっても有害でないと考えるのは間違っています。
「大麻はそんなに有害ではない」という言葉を鵜呑みにすると、人生を台無しにするほどの大きな害を被るかもしれません。今だけでの問題ではなく、今後の人生に影響が出ることがわかっているのです。
また、そればかりか他人への影響をおよぼす可能性があります。インターネットの記事や使用者の言葉に踊らされずしっかりと自分で情報を見極めることが薬物関連の問題に限らず非常に大切なのです。
秋谷 進
東京西徳洲会病院小児医療センター
小児科医