今回の相談者は、ペアローンを組んで品川区にマンションを購入したという30代・男性。妻の「産後クライシス」を発端とする夫婦の不和から離婚が決まり、ローンを自分名義に変更したいと考えていますが、複数の銀行に断られてしまいました。男性はヘッドハンティングで有名企業を渡り歩くエリートであり、年収も1,200万円超あるにもかかわらず、なぜローンの名義変更ができなかったのでしょうか。持ち家離婚カウンセラー・入江寿氏が解説します。
有名企業を渡り歩く年収1,200万円のエリート会社員…離婚による〈ペアローン〉の名義変更に大苦戦のワケ【持ち家離婚カウンセラー相談事例】 (※写真はイメージです/PIXTA)

ローンの延滞履歴・ほかの借入がない点を評価され、仮審査の承諾へ

相手がいなければ、多くの金融機関が審査基準としている「勤続1年」が経過するのを待っても問題なかったのでしょうが、陽子さんから「離婚して、一日でも早く名義と住宅ローンの変更をしてほしい」とプレッシャーをかけられていたことが、一則さんが急いで手続きを進めようとしていた理由でした。

 

銀行との粘り強い交渉の末、住宅ローンの延滞がないことやほかの借入が無い点、さらに、一則さんのまじめで腰の低い人柄も評価され、なんとか借り換えができる先がみつかりました。

 

一則さん・陽子さんの離婚はすでに決定事項です。ローンの借り換えについて目途がついたことで、具体的に離婚協議を進めていくことになりました。離婚後の養育費の支払い条件なども決まり、残すところ、課題は「共有名義・ペアローンの解消」だけとなりました。

 

その後、なんとか住宅ローンが仮審査の承諾を得ることができ、ペアローンが解消できる兆しがみえたことで、陽子さんの態度も軟化していったといいます。一則さんが最初に相談にきてから4ヵ月、無事に離婚も成立し、マンションの名義・ローンの名義は一則さんに一本化できました。

 

名義変更から数週間後、一則さんは筆者に「子どもと会ってきましたよ」といって、嬉しそうに写真をみせてくれました。