生活保護費にも満たない年金、貯金もなく…おひとり様高齢者の行き着く先
たとえば東京23区の場合、生活保護の基準となる最低生活費は、単身70代だと12万7,920円(生活扶助基準額7万4,220円、住宅扶助基準額5万3,700円)。一方、厚生年金受給者で、生活保護費以下なのは全体の36.6%。さらに10万円以下とすると23.2%で、5人に1人以上の水準です。70代で「貯金なし」は20%に及ぶとされていますから、「年金生活保護費以下」かつ「貯金なし」という高齢者は相当数いると考えられます。
年金10万円というと、手取りは9万5,000円ほど。現状、所得税や住民税はかからないと考えられますが、保険料は引かれます。わずかな金額かもしれませんが、高齢者には大きな金額。現役時代に十分な貯金ができず、年金だけでは暮らしていけず……「もう、生きていけません」という悲鳴が聞こえてきます。
厳しさ増すおひとり様の高齢者を取り巻く環境。そのようななか、衝撃的な事件が報じられました。郵便局員になりすまし、70代女性からキャッシュカードをだまし取ろうとした詐欺未遂……その容疑者として逮捕されたのは、なんと、72歳の女性。闇バイトに応募し、受け子の役割を担っていたといいます。
事件は電話を受けた70代女性が不審に思い、近所の人を通して110番に通報。受け子の72歳女性が郵便局員を装って女性宅を訪れたところ、その場で逮捕し未遂に終わりました。72歳女性は「借金があり、生活苦のため」を理由に闇バイトに応募したとか。事件前には都内のマンガ喫茶を転々としながら生活をしていたといいます。
常習的なことなのかどうか分かりませんが、70代になって闇バイトに応募する……貧困がゆえの犯罪でも絶対に許されるものではありませんが、何ともやり切れない気持ちになるでしょう。生活苦に陥ったとき、サポート・支援をする制度はありますが、申請しなければ支援は受けられません。そもそも誰に相談すればいいのかなど分からずに、申請に至らないケースも多くみられます。どうか、本当に必要としている人たちには、支援・サポートが届いてほしいものです。