資産形成もままならない現役世代…20年後に訪れる、さらに大変な日本の未来
貯蓄額450万円……不足額から逆算すると平均年齢ほどで貯蓄はゼロになる計算。それではちょっと不安なので、もう少し多くの貯蓄を築いておきたいもの。
厚生労働省の調査によると、各年代の月収の中央値は以下のとおり。30代前半では手取り22万~23万円程度、40代前半では手取り25万~26万円程度です。家族構成や住まいのカタチ(持ち家か賃貸かなど)、ライフスタイルによりますが、自信満々に「余裕がある」とはいえる水準ではないのは明らか。この手取りのなかで、将来を見据えた資産形成も進めていかなければならないのですから大変です。
【年齢別「月収の中央値」】
20~24歳:21.6万円
25~29歳:24.9万円
30~34歳:27.9万円
35~39歳:30.8万円
40~44歳:33.3万円
45~49歳:35.7万円
50~54歳:37.3万円
55~59歳:37.8万円
60~64歳:27.1万円
出所:厚生労働省『令和4年賃金構造基本統計調査』より
さらに大変な話をすると、近い将来、「年金の受取額」は大きく減少することが確実です。
現役世代の男性の平均の手取り月収に対して、夫婦二人の年金の合計額の割合を計算した年金の「所得代替率」。2019年に発表された政府の試算では、夫が40年間厚生年金に加入して、妻は40年間専業主婦というモデル世帯のケースで、所得代替率62%といわれています。
これが2047年に65歳になる夫婦では51%になるとされ、2047年以降は、この水準が続くとしています。つまり現在40代前半の会社員が65歳になったときに受け取れる年金は、平均で14万円の8割、つまり額面で11万円ほどということ。さらに今の水準で保険料等が引かれたら、10万円を下回るのも現実的です。
また同じように国民年金の受取額の見通しもみていくと、こちらは3割減とされています。満額で6.6万円の7割、つまり4.6万円ほどに下がるということです。
「年金受取額2~3割減」という悪夢。これでどう、生きていけばいいのか……そう、言わずにはいられないでしょう。
ただ、現役世代の人たちは、これから対策を講じることができるので、まだマシかもしれません。たとえば、現在65歳で年金を受け取り始めた人たち。彼らの年金額も徐々に目減りしていき、今後20年余りで2~3割減るということになります。そうなれば80代後半。生きていけば生きるだけ年金は目減りし、生活は苦しくなる……まさしく、長生きするだけリスクです。
希望なんてもてない、20年後の日本。年金は当てにせず生きていけるだけの資産をつくる……老後の心配をゼロにしたいなら、それくらいの貯蓄を築くしか方法はなさそうです。