老後、お金に困らないようにするには、手持ちの金融資産を預貯金で寝かせず、運用・投資することがおすすめです。ただし、投資につきもののリスクを抑え、着実にお金を増やしていける金融商品を選ぶ必要があります。最も有効な方法の一つが「投資信託」です。その選び方について、ファイナンシャルプランナーの馬養雅子氏が監修した『人生100年時代 50代からのお金の基本』(新星出版社)より、一部抜粋して紹介します。
老後資金の準備は「投資信託」が基本!商品を選ぶときの「4つのポイント」【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

老後資金づくりの基本は少額から「分散投資」できる「投資信託」

どの金融商品にもリスクがありますが、それを軽減する方法があります。それは、「分散投資」です。

 

1つの金融商品に資産を集中させると、それが値下がりしたときに資産全体が目減りしてしまいます。

 

そこで、複数の商品に分散して投資をします。そうすると、そのうちのどれかが値下がりしても、それ以外のものが値上がりしていれば、資産全体の目減りが抑えられます。

 

この分散投資を取り入れた金融商品が、投資信託です。多くの人からお金を集めて“ファンド”をつくり、それを運用のプロであるファンドマネージャーが運用し、得られた利益を分配するしくみです。

 

投資信託は、数千円から数万円程度で購入することができ、積み立て購入も可能なので、老後資金づくりに適した商品といえます。

 

では、どのような商品を選べばよいのでしょうか、4つのポイントをお伝えします。

ポイント1|ミドルリスク・ミドルリターンが希望なら「バランス型」を選ぶ

投資信託は、ファンドごとに投資する対象が決まっていて、それによってリスク・リターンの度合いも異なります([図表1]参照)。

 

※Real Estate Investment Trust。不動産投資信託。日本版はJ-REIT。
[図表1]投資対象の資産・地域の違いによる投資信託のタイプ

 

主な投資対象は株式と債券で、いずれも国内のものと海外のものがあります。

 

そのほかに、不動産の賃貸収入や売買益を投資家に分配する「不動産投資信託」(REIT(Real Estate Investment Trust)、日本版はJ-REIT)、ゴールドなどの貴金属や原油等のエネルギー、大豆等の穀物等に投資する「コモディティ」があります。

 

一般的に株式は債券よりリスクが高く、海外の資産は国内の資産よりリスクが高いといえます。株式と債券の両方に投資する「バランス型」は、ミドルリスク・ミドルリターンの位置づけとなります([図表2]参照)。

 

分散投資でリスクを軽減でき、ミドルリスク・ミドルリターンの商品を希望するならば、「バランス型」がおすすめです。

 

[図表2]投資信託のタイプとリスク・リターンの関係