1.「あそこは良い会社だから株を買ったほうがいい」
とくに株式投資の初心者にとっては、会社の知名度が高く、直近のニュースで業績好調が報じられた「良い会社」の株は魅力的に映ることでしょう。しかし、買い注文を出す前に、以下の2点に気を付ける必要があります。
会計の知識を持って決算書を読み込んでみると、知名度が高い人気の会社や直感的に良さそうだと思った会社が、実際はそれほど良い会社ではないというケースは多々あります。たまに赤字になっていたり、借金が多かったり、成長性がなかったり、配当や自社株買いに消極的で株主のことを考えていなかったりするのです。
つまり、その会社が本当の意味で良い会社かどうかは、知名度や人気度では判断できないということです。
また、仮にそこが本当に良い会社であったとしても、そのような会社は株も人気で、異常な割高になっていることがあります。そんなタイミングで買ってしまうと、まるで値上がりせず、ほかの会社の株を買っていれば利益が出たのに…と落胆するケースも少なくありません。運が悪ければ、みんなの熱狂が冷め、暴落する可能性もあります。
たとえ本当に良い会社であっても、買うか買わないかは「株価」をみて判断すべきなのです。
2.「相場が良いから買ったほうがいい」「相場が悪いから買わないほうがいい」
市場全体の株価が上昇しているときには「株を買ったほうがいい」、反対に相場が落ち込んでいるときには「株は買わないほうがいい」という言葉を聞く機会が増えます。
しかし、それは正しい考え方とはいえません。なぜなら株価とは、上がれば上がるほどその後は下がる確率が高まり、反対に、下がるほど今度は上がる確率が高くなっていくためです。
極端な例ですが、上がりすぎてPER100倍・PBR10倍・配当利回り0.1%の株があったとしたら、その後は下がる確率が高いでしょう。逆に、下がりすぎてPER1倍・PBR0.1倍・配当利回り10%の株はその後も下がり続けるとは考えにくく、いずれかのタイミングで株価は反転していくはずです。
ですから、相場が良いときに売り、悪いときに買うことを考えたほうが、利益は出やすいといえます。
また、相場の良し悪しと、個別株の投資判断は別物だとも考えられます。相場がどんな状況であっても、値上がりを見込める株が見つかることはあります。そして、そんな掘り出し物の銘柄を見つけることこそが、投資家の「技術」だといえるのではないでしょうか。
3.「一度買った株は売らないほうがいい」
たしかに、これだと決めて買った株に少々値動きがあったからといって簡単に売ってしまうのは避けるべきかもしれません。しかし、以下に挙げる3つのシチュエーションにおいては、売却を検討する必要もあるでしょう。
こうした状況においては、株を売って現金化しておくことも一つの戦略です。
また、すべてを売らず、一部を売るという方法もあります。たとえば、ずっと保有してもいいと思える株を適正な価格で買えたとしても、異常に割高になったと思えるタイミングがきたら、保有数量の一部を売ってしまうのです。その後しばらくは現金で持っておき、同じ銘柄が下落したときに買い直してもいいですし、より大きな利益が見込めるほかの銘柄を買うのもいいでしょう。
じっくり保有し続けることも大切ですが、それにこだわりすぎると、利益を得るチャンスを逃してしまうことに注意が必要です。