手続きの進捗について妻がプレッシャーを与える理由
宗男さんの話を聞くと、陽子さんはすでに家を出ており、近隣にマンションを購入して一人で住んでいるとのこと。ペアローンで購入した自宅を宗男さん名義に一本化したい、というのが相談の主旨でした。宗男さんは、あちこちの銀行や不動産会社に問い合わせたものの、どこも「一本化は難しい」の一点張りで話が進まなかったといいます。
筆者からは、宗男さんへの名義一本化について本人の意思確認をした上で、手続きを進めるにあたっては複数の資料が必要になる旨を伝え、初回の面談は終了しました。
それから1週間後、宗男さんはきっちりと資料をそろえ、筆者の事務所にやってきました。
営業の仕事も相当なハードワークとのことだったので、「家事との両立は大変ですね」と声をかけたところ、「家事はずっとやっていることなので問題ありません。早くこの家の問題を解決して妻との縁を切りたいんです」と小さな声で語りました。
面談中、陽子さんからLINEが入ったようでした。
宗男さんは怯えた様子で、「妻からLINEがきたので読んでもらえませんか」と、筆者に携帯を差し出しました。詳しく聞くと、宗男さんは陽子さんのLINEや声が怖く、LINEを読むことすらできないということでした。
画面には、「ちゃんと進んでいますか」とのメッセージが表示されていました。
実は、陽子さんは新たにマンションを購入する際に、自宅を宗男さん名義に一本化するという条件で住宅ローンを組んでいたのです。銀行からは「元の自宅の名義変更は1年以内」とリミットを提示されていたため、宗男さんに、名義の一本化に係る手続きを早期に済ませるようプレッシャーをかけていたのです。