「そういうものだから、仕方ない」という常識に異を唱える
窓を開けると、美しい景色と澄んだ空気が室内に流れ込んでくる……。そんな生活を送りたいと考えるのは誰でも同じ。しかし利便性の高い都心部の住宅では、敷地が隣家と密接しているため、理想を実現するのはなかなか難しい。窓を開けた途端、味気ない隣家の塀や壁が目に飛び込んでくるのは当たり前。設置場所によっては隣家の窓が差し向いとなってしまうこともあり「開けたくても、開けられない」という状況に陥ってしまいがちだ。
河部「住宅に窓は必要不可欠ですから、どんな住宅にも必ず設置されることになります。しかしそこから見える景色にまで、心を砕いてくれるハウスメーカーはほとんどありません。『お隣の家が近いですからね……。都心には住宅がひしめき合っているので、仕方ないですよ』の一言で済ませてしまうのが、業界の常識となっているんです」
窓が窓として、本来の機能を発揮していない……。そんな状況に河部氏は異を唱えるだけでなく、抗う姿勢を明確にしている。購入から数十年の時を過ごすことになる住宅に、美しい景観は必要不可欠と考えているからだ。
河部「毎日を過ごす住宅の窓から見える景色を、魅力あるものにする…、それは住宅を作るものにとって、最低限果たさなくてはいけない義務のひとつだと考えています」
ではモデルコードは、制約だらけの都心部の敷地内で、窓から見える美しい景色をどのように実現しているのだろうか?
癒しとプライバシーを確保する、美しい景観
河部「都心部の敷地にモデルコードを建てる際は、1面のみ道路で、あとの3面は隣家に面しているというケースがほとんど。そこで敷地の中心か角に中庭、角庭を設置し、モデルコードに住む人だけが楽しめる外部空間を、確保しています」
ここで活用されるのは、モデルコートが採用する特徴的な建材のひとつ・高さ2メートル超のアルミ格子だ。この建材は外部の視線をほどよく緩衝し、しかも圧迫感のない佇まいを実現する。またアルミ格子で囲まれた庭のかたちは細長い長方形であったり、小さな正方形であったりと敷地により変化するが、内部には必ず植物が植えられる。「庭で何かをする」というより、あくまで室内から見える景色を豊かにするために、設えられるスペースなのだ。
河部「アルミ格子には隙間があり、光や風を通すので、庭自体はそう広くなくても、開放感のある景観が実現します。またシルバーの人工美が植栽の自然美を引き立てることで、上質な意匠を具現化するのです。隣家と室内の間に庭があることで、都市部に居住しながら、光と風と緑豊かな景色を手に入れることができます」
しかし中庭や角庭を設置すると、その分住宅の敷地面積が削られていくことになる。室内の広さを最優先したい向きから、不満を訴えられることはないのだろうか。
河部「床面積を減らすのはもったいないという考え方もあるでしょう。敷地の建ぺい率や容積率をすべて使い切ることが施主のためであり、ハウスメーカーの使命と考える企業が数多く存在していることも、確かです。しかし全室隣の外壁しか見えない4LDKと、1部屋以外の3部屋は家族だけの庭が見える3LDK、後者の需要に応える供給が皆無なのです。
窓から見える景色についても、同様に考えてみる必要があります。窓もろくに開けられない設計となった室内の面積を少し削ることで、毎日の生活に癒しとプライバシーが約束される、そういう供給こそがプロの仕事です」
外部から目に入る窓の佇まいにも、心を砕く
都心の住宅でも美しい景観を約束する、モデルコード。その窓はどのような商品で構成されているのだろうか。河部氏に伺ってみた。
河部「ここでも特注の奇抜な窓枠などは一切使わず、無彩色かつ控え目なもので統一しています。また、外部から窓を見たときの印象にも気を遣い、サッシュの選択で最も重要なのは、シャッターボックスに天井埋め込みタイプがあるか、否か。もしファサードとして出てくる場合は必ず軒天のある設計とし、そこにシャッターボックスを埋め込んで、視界から排除します。それがモデルコードの、最低限の身嗜みなのです」
このようにモデルコードは、窓本体、そしてそこから見える景色にも並々ならぬこだわりと美意識を反映し、「過剰なき美邸」のコンセプトを見事に体現している。ただ単に土地や建物を提供するのではなく、ライフスタイルそのものを提案する規格住宅なのだ。