小学生のなりたい職業ランキングで上位に入る「看護師」。しかし実際には「激務・薄給」の職業であることが、特にコロナ禍大きく報道されました。コロナがいくぶん落ち着いたいまも、その過酷な労働状況に変化はありません。今回は、東京西徳洲会病院小児医療センターの秋谷進医師が、複数のデータをもとに「看護師の給料事情」を解説します。
(※写真はイメージです/PIXTA)
労働量と給料が見合っていない…看護師の叫び
日本看護協会の調査※によると、看護師に「いまの労働に対しての給料に満足か」という質問に対して
●満足……3.5%
●やや満足……9.6%
●やや不満……31.0%
●不満……44.7%
●やや満足……9.6%
●やや不満……31.0%
●不満……44.7%
という結果となっています。「やや不満」と「不満」を合わせると、7割超の方が現状に不満を抱えているようです。
※ 公益社団法人日本看護協会「「2022年度 専門看護師・認定看護師に対する評価・処遇に関する調査結果」報告書」より
世界と比べて日本の看護師の給与は高いのか?
では、世界の看護師の給料事情はどうなっているのでしょう。[図表2]をみると、OECD加盟国全体の平均が1.2であるところ(図中赤線)、日本は1.1と平均よりも下回っています※。
※ 2021年時点での日本の看護師の平均年収約492万円をもとに算出。全労働者の平均給与を1.0としたとき、OECD加盟国の平均が1.2、日本が1.1。
さらに看護師の世界の給与事情について、以下のような事実があります。
・アメリカの看護師の平均年収は1,000万円超
・オーストラリアの看護師の平均年収は約600万円
・中国の看護師の平均年収も500万円超(2021年時点)
・オーストラリアの看護師の平均年収は約600万円
・中国の看護師の平均年収も500万円超(2021年時点)
このことから、日本の看護師の給与は世界と比較すると必ずしも高いとはいえません。超高齢社会のなか、今後ますます需要が増えることを考えると、これからの日本を担う看護師の給料はもっと引き上げられるべきだと考えるのは、筆者だけではないはずです。