小学生のなりたい職業ランキングで上位に入る「看護師」。しかし実際には「激務・薄給」の職業であることが、特にコロナ禍大きく報道されました。コロナがいくぶん落ち着いたいまも、その過酷な労働状況に変化はありません。今回は、東京西徳洲会病院小児医療センターの秋谷進医師が、複数のデータをもとに「看護師の給料事情」を解説します。
“年収1,000万円超”が普通の国も…世界のデータを見て愕然、「薄給・激務」看護師の“給与事情”【医師が警鐘】 (※写真はイメージです/PIXTA)

看護師の給与を上げるために、日本政府も動いているが…

実は、こうした現状を鑑みて、日本政府としても、看護師の給与を引き上げるための取り組みが行われています。それが、「看護職員等処遇改善事業」です。

※ 参照:厚生労働省「看護職員等処遇改善事業」

 

看護職員等処遇改善事業とは、地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員(保健師、助産師、看護師及び准看護師)等を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、令和4年2月から収入を引き上げるための措置を実施することを目的とした事業のことです。

 

簡単にいうと、「コロナ医療などの負担の多い病院では、看護師に対して賃金を上げることを前提にしてくれたら補助金を出しますよ」という事業ですね。コロナで大変な医療機関に対して、看護師の離職が続いたことを受けて作られた政策です。

 

具体的には、2022年2月から9月までのあいだ、介護・障害福祉職員、看護職員、保育士・幼稚園教諭・放課後児童支援員などを対象に、月額平均4,000円〜9,000円(収入の1〜3%程度)の賃上げが実施されています。

 

さらに、日本政府では賃金改善を行う対象医療機関に対して、当該賃金改善を行うために必要な費用を補助しています。

 

補助額は、賃金改善実施期間の各月初日時点における当該医療機関の看護職員の常勤換算数の平均値(見込み)× 8(賃金改善実施期間の月数)× 4,660円(4,000円に法定福利費に係る事業主負担率に相当する率を乗じて得た額)と算定され、補助額を決めています。

看護師がもっと働きやすい社会にするために

このように、日本政府も日本の看護師がもっと働きやすい社会にするために政策を行っていますが、決して十分ではありません。「働きやすい環境」は、給与がいいだけでつくられるものではないからです。

 

たとえば、いまは長時間労働や夜勤労働を前提に給料が底上げされていますが、本来は夜勤がなくても十分な給料をもらっていると感じるほうがよいに決まっています。

 

また、看護師の権利保護も欠かせません。看護師は替えの利かない職業ですから、「休みたくても休めない」という状況が往々にして存在します。そのため、ついつい休みたくても労働を強いてしまいがちになります。いつでも元気に働ける環境づくりも重要な要素です。さらに、看護師のスキルアップを支援するための教育と研修の機会を増やすことも重要ですね。

 

そのための第1歩として、看護師の現状をよく理解し、耳を傾けることが大切ではないでしょうか。

 

 

秋谷 進

東京西徳洲会病院小児医療センター

小児科医