5│人口移動の動向
総務省「住民基本台帳人口移動報告」によれば、東京23 区の転入者数は、2012年以降、増加傾向で推移していたが、コロナ禍を経て、減少に転じた。しかし、2022年はプラスに転じ前年比+3.7%の34.7万人となった[図表2]。
一方、転出者数は、長らく30万人近辺で推移していたが、2020年以降増加に転じ、2022年は前年比+4.5%の約32.8万人となった。
この結果、「転入超過数」は2012年以降増加傾向にあり、2019年は+7.0万人の「転入超過」であったが、コロナ禍以降、「転入超過数」は大幅に減少し、2022年は+1.9万人とコロナ禍前の1/3の水準に留まっている。
6│新築マンション購入層の動向
リクルート住まいカンパニー「首都圏新築マンション契約者動向調査」によれば、首都圏における新築マンション購入者の世帯構成は、「夫婦のみの世帯」が最も多く、次いで「子供あり(第1子小学校入学前)世帯」となっている。
総務省「国勢調査」によれば、2020年の東京23区の「夫婦のみの世帯」は80.4万世帯で2005年対比+19%増加した。
また、「夫婦と子供から成る世帯(6歳未満の子供あり)」も2020年に32.3万世帯となり2005年対比+27%増加した。これらの「夫婦世帯」と「夫婦と子供の世帯」の増加が、東京23区における新築マンションの需要を支えていると考えられる。
7│住宅ローンの動向
長期固定金利住宅ローンである「フラット35」の金利は、2005年から2008年にかけて2%前半から3%台へ上昇した後、低下に転じ、2016年には1%を下回る水準まで低下した。その後も概ね1%台前半で推移していたが、2022年に入りやや上昇している。
住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査」によれば、「今(今後1年程度)は、住宅取得の買い時だと思うか」という質問に対して、「買い時だと思う」との回答が「買い時とは思わない」との回答を、2021年10月調査まで上回る状況が続いていた。
また、「買い時だと思う理由」として、「住宅ローン金利が低水準だから」との回答が最多を占める。このように、長期にわたる低金利がマンション購入資金の負担を軽減し、マンション購入を後押してきたことが確認できる。