人手不足による建築コストの上昇などを背景にマンションデベロッパーが慎重な供給姿勢を維持する一方、低金利環境が「夫婦のみ世帯」「未就学児がいる夫婦世帯」のマンション購入を後押ししており、東京23区の新築マンション価格は過去10年間で67%上昇しました。ニッセイ基礎研究所の吉田 資氏が、「新築マンション価格指数」を基に、市場動向を概観します。
「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向-良好な需給環境と低金利を背景に、東京23区の新築マンション価格は過去10年間で+69%上昇 (写真はイメージです/PIXTA)

5│人口移動の動向
総務省「住民基本台帳人口移動報告」によれば、東京23 区の転入者数は、2012年以降、増加傾向で推移していたが、コロナ禍を経て、減少に転じた。しかし、2022年はプラスに転じ前年比+3.7%の34.7万人となった[図表2]。

一方、転出者数は、長らく30万人近辺で推移していたが、2020年以降増加に転じ、2022年は前年比+4.5%の約32.8万人となった。

この結果、「転入超過数」は2012年以降増加傾向にあり、2019年は+7.0万人の「転入超過」であったが、コロナ禍以降、「転入超過数」は大幅に減少し、2022年は+1.9万人とコロナ禍前の1/3の水準に留まっている。

 
 
 

6│新築マンション購入層の動向 
リクルート住まいカンパニー「首都圏新築マンション契約者動向調査」によれば、首都圏における新築マンション購入者の世帯構成は、「夫婦のみの世帯」が最も多く、次いで「子供あり(第1子小学校入学前)世帯」となっている。

 

総務省「国勢調査」によれば、2020年の東京23区の「夫婦のみの世帯」は80.4万世帯で2005年対比+19%増加した。

 

また、「夫婦と子供から成る世帯(6歳未満の子供あり)」も2020年に32.3万世帯となり2005年対比+27%増加した。これらの「夫婦世帯」と「夫婦と子供の世帯」の増加が、東京23区における新築マンションの需要を支えていると考えられる。

 

7│住宅ローンの動向
長期固定金利住宅ローンである「フラット35」の金利は、2005年から2008年にかけて2%前半から3%台へ上昇した後、低下に転じ、2016年には1%を下回る水準まで低下した。その後も概ね1%台前半で推移していたが、2022年に入りやや上昇している。

住宅金融支援機構「住宅ローン利用予定者調査」によれば、「今(今後1年程度)は、住宅取得の買い時だと思うか」という質問に対して、「買い時だと思う」との回答が「買い時とは思わない」との回答を、2021年10月調査まで上回る状況が続いていた。

 

また、「買い時だと思う理由」として、「住宅ローン金利が低水準だから」との回答が最多を占める。このように、長期にわたる低金利がマンション購入資金の負担を軽減し、マンション購入を後押してきたことが確認できる。