NISA制度が大幅に進化…来年1月から始まる「資産所得倍増プラン」
2023年6月時点では、NISA(少額投資非課税制度)口座は主に「一般NISA」と「つみたてNISA」に分かれています。
これを「成長投資枠」「つみたて投資枠」と改め年間投資枠を広げ、非課税保有期間を無期限化し、さらに両投資枠の併用も可能にするなど、NISA制度の抜本的変更が決定しました(2024年1月~)。これが、「資産所得倍増プラン」です。
投資による利益の非課税枠が広がり、かつそれが無期限化されるのですから、「利益が出ても非課税だから、投資しよう!」という誘因となり、依然として日本の主な金融資産となっている預貯金が株式市場に流入し、株高となることが期待できます。
ただし、資産所得倍増プランによる「もう一方の側面」も考えておくことが必要です。
岸田首相は当初、株式市場を“軽視していた”?
実は岸田首相は、政権発足時には「金融所得課税の見直し」を掲げていました。投資によって生じた所得への課税を、強化しようとしていたのです。
結局、世論の反発と株価下落に遭い、その件については「当面は触ることを考えていない」と言い直したようです。
しかし岸田政権はそもそも、「新しい資本主義」という経済政策を掲げ、以下のようなアナウンスをしています。
市場に依存し過ぎたことで、公平な分配が行われず生じた、格差や貧困の拡大。市場や競争の効率性を重視しすぎたことによる、中長期的投資の不足(中略)。分厚い中間層の衰退がもたらした、健全な民主主義の危機。
(中略)市場に任せればすべてがうまくいくという、新自由主義的な考え方が生んだ、さまざまな弊害を乗り越え、持続可能な経済社会の実現に向けた、歴史的スケールでの「経済社会変革」の動きが始まっています。
成長と分配の好循環による「新しい資本主義」によって、官と民が全体像を共有し、協働することで、国民1人ひとりが豊かで、生き生きと暮らせる社会を作っていきます。
さまざまな弊害を是正する仕組みを、「成長戦略」と「分配戦略」の両面から、資本主義のなかに埋め込み、資本主義がもたらす便益を最大化していきます。
以上の文面からは、それまでの「分配」に対して否定的である見解がうかがえます。そして、今般「資産所得倍増プラン」を掲げましたが、当初は株式市場を重視しておらず、ひょっとしたら「株での儲けには、課税を強化するのが公平」という考えを持っていた可能性もあります。