「高年齢雇用継続基本給付金」の受給額
高年齢雇用継続基本給付金は、いくら受け取れるのでしょうか。これには計算方法があります。また、支給限度額も設けられています。それぞれについて説明します。
◆計算方法
まず、計算方法です。
60歳時の給料の月額と比べ、支給対象月に支払われた給料が何%まで低下したかを示す「低下率」を算出し、それを基に、所定の計算式によって計算されます。
まず、「低下率」は以下の通りです。
【低下率の計算式】
「支給対象月に支払われた給料の額」÷「60歳時の給料の月額」×100(%)
なお、「60歳時の給料の月額」は、原則として、最後の6ヵ月間の平均賃金をさします。
また、「支給対象月に支払われた給料の額」には「みなし賃金」も含みます。
「みなし賃金」は、以下の事由で給料が減額になった場合に、その減額分については賃金として支払われたとみなすものです。
【みなし賃金に該当するもの】
1. 被保険者本人の非行等による懲戒が原因である賃金の減額
2. 疾病又は負傷等による欠勤、遅刻、早退等による賃金の減額
3. 事業所の休業
4. 妊娠、出産、育児、介護等による欠勤、遅刻、早退等による賃金の減額
これらの場合は、本人に落度があるか、あるいは別の制度でカバーされるので、雇用保険による給付の対象外と判断されるのです。
こうして算出された「低下率」をもとに、次に、以下の計算式によって、給付金額を算出します。
【高年齢雇用継続基本給付金の給付額の計算式】
イ)低下率が61%以下の場合
「支給対象月に支払われた給料の額」×15%
ロ)低下率が61%超・75%未満の場合
-183/280×「支給対象月に支払われた給料の額」+137.25/280×「60歳時の給料の月額」
たとえば、もともと給料が月30万円だったのが、20万円に減額された場合、
低下率は
です。
これは61%を超えているので、支給額は
となります。
減額後の給料と合わせると、21万6,340円となります。
◆「最低限度額」と「最高限度額」
ただし、支給額には「最低限度額」と「最高限度額」があります。
最低限度額を超えない場合は、高年齢雇用継続給付は支給されません。また、最高限度額を超えると、超過部分は支給されません。
最低限度額、最高限度額は、「毎月勤労統計」の平均定期給与額により毎年8月1日に改定されます。
2022年8月1日~2023年7月31日の期間においては、最低限度額は2,125円、最高限度額は364,595円です(厚生労働省資料参照)。
◆「支給率」の早見表
以上を前提として、「低下率」ごとに、減額後の給料の何%を高年齢雇用継続基本給付金としてもらえるかという「支給率」の早見表を作成すると、【図表4】のようになります。