キーワードは「栄養素」…認知症に「なる食事」と「ならない食事」【医師が解説】

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山本 康博
キーワードは「栄養素」…認知症に「なる食事」と「ならない食事」【医師が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

2年後の2025年には、65歳以上の「5人に1人」が認知症になるといわれている日本。認知症になると記憶力や言語能力などが低下し、日常生活に大きな支障が出てしまいます。認知症を防ぐために、何より効果的なのが「日々の食事」です。 MYメディカルクリニック横浜みなとみらい院長の山本康博先生が、認知症のリスクを高める食事と予防に役立つ食事について、それぞれ解説します。

認知症リスクを左右する「日々の食事」

認知症になると、記憶力や言語能力、判断力、理解力などが低下してしまい、老後の日常生活に大きな影響を与えることがあります。

 

現在の医学では認知症を完全に予防することはできませんが、認知症になりにくい生活習慣が次々と明らかになってきています。フレイルを防いだり、血糖値の変動を防いだりすることも重要ですが、中でも日々の「食生活」は、認知症予防のために何より重要です。

 

現役世代の認知症予防や、シニア世代でも認知症の初期症状の進行を遅らせるのに役立つ栄養素が、たくさんあります。一方で、逆に「これをやってしまうとまずい!」という認知症のリスクを高める食生活もあります。

 

今回は、認知症の予防に必須である栄養素や食生活について、最新の知見 (認知症疾患診療ガイドライン2017)をもとにご紹介します。

認知症を「予防する」4つの栄養素

認知症のリスクを抑えるためには、以下の栄養素が含まれた食品を摂取することが重要です。

 

DHAやEPAなどの「オメガ3脂肪酸」

「オメガ3脂肪酸」は、サーモン、マグロ、サバなどの脂質が豊富な魚や亜麻仁油、クルミ、チアシードに含まれています。オメガ3脂肪酸の中でも、脳の健康には特に「DHA」と「EPA」が重要です。

 

DHAは脳の神経細胞を構成する成分のひとつで、記憶力や判断力向上に効果があるといわれています。また、EPAは血液をサラサラにして、脳内に血栓ができるのを防ぎます。

 

サンマ、アジ、イワシ、サバなどの青魚は特にDHAやEPAが豊富で、旬の時期には脂も乗って美味しく食べられます。それぞれの季節に合わせて、旬の魚を積極的に摂取することが望まれます。

 

ポリフェノール、カテキンなどの「抗酸化物質」

ワインやお茶、コーヒー、フルーツ、オリーブオイルなどさまざまな食品に含まれています。野菜や果物、ワインなどに多く含まれるポリフェノールや、お茶に含まれるカテキン、コーヒーのクロロゲン酸などの抗酸化物質は、体の酸化を防ぎ、認知症の要因となる脳内のアミロイドβタンパクの蓄積を抑制することが知られています。

 

直接的に効果があるというよりは、老化を促進する体内の酸化物質の発生を抑制することで、間接的に認知症を予防すると考えられています。

 

ビタミンB12は症状に直結…「ビタミンB群」

ビタミンB群は、体内のエネルギー源となる栄養素です。全粒穀物や豆類、卵、緑黄色野菜、魚介類などに豊富に含まれています。不足すると集中力の低下や記憶障害などの症状が現れるため、認知機能と密接な関係があると考えられています。

 

ビタミンB群の中でも、「ビタミンB12」は特に認知症との関連が知られていて、ビタミンB12が不足すると認知症の症状が生じ、補充によって回復します。血中のビタミンB12濃度を調べ、不足している場合には、これを補充すると認知症の症状が改善します。

 

また、葉酸が不足すると肝臓で作られる悪玉アミノ酸のホモシステインが増加します。ホモシステインは動脈硬化を促進し、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβの作用も強めるといわれています。

 

また、血中のホモシステインが増えると、認知症だけでなく、脳血管障害にもつながります。葉酸の摂取はホモシステインを減少させ、認知症の予防につながると期待されています。

 

ビタミンC、ビタミンE、ベータカロテン

ビタミンCはオレンジやキウイ、ブロッコリー、トマト、ピーマン、かぼちゃなどに、ビタミンEはアーモンドやほうれん草、ひまわりの種、アボカド、オリーブオイルなどに含まれています。

 

ベータカロテンはにんじん、かぼちゃ、パセリ、バジルなどの色鮮やかな緑黄色野菜などに多く含まれています。ただし、この3つのビタミンについては、「認知症を防ぐ効果」としては最近疑問が持たれています。

認知症の「リスクを高める」食生活

反対に、以下のような食事は認知症のリスクを高めます。

 

高脂肪食

ファーストフードや加工食品、スナック菓子などの高脂肪食は炎症を引き起こし、認知症のリスクを高めることがあります。

 

高糖質食

砂糖や白米、白パンなどの高糖質食は、インスリン抵抗性や糖尿病のリスクを高め、認知症の発症につながることがあります。

 

高塩分食

加工食品や外食産業の料理に多く含まれる塩分は、高血圧や心血管疾患のリスクを高め、認知症のリスクにも影響を与えることがあります。

 

高血圧、糖尿病、脂質異常症は認知症のリスクを高めるので、それらを引き起こすような食事は認知症のリスクとなるということですね。

 

さて、上記のラインナップを見てどう思うでしょうか。つまりは、いわゆる「地中海式」の食事がいいということになりますが、特にびっくりするようなことはきっとなかったと思います。

 

「わかっちゃいるけど、毎日野菜やフルーツ、魚を食べるのもなかなか大変なんだよ!」

 

という方も多いのではないでしょうか。

 

これらの栄養素は食事から摂るのが理想的ですが、多忙なビジネスパーソンにとってはなかなか難しいかもしれません。一方で、特にオメガ3脂肪酸や各種ビタミンの欠乏は明らかな認知症のリスクとされています。したがって、良質なサプリメントで補っていただくのが現実的な妥協案かもしれません。

「肥満」のほうが認知症になりにくい!?

さて、ここまで見てきたように、各種栄養素をしっかり摂ることは認知症予防にとても重要だということがわかっています。しかし、近年の疫学データからはそれに加え、食事をとるうえでもっと意識すべき重要なことがわかってきました。それは、体重です。

 

現役世代の肥満は認知症リスクとなりますが、シニア期では逆に肥満のほうが認知症のリスクが下がるのです。

 

現役世代の肥満は生活習慣病を引き起こすため、認知症のリスクとなります。一方で、シニア期では体重が標準よりも軽くなって痩せてしまっていることが、認知症の大きなリスクとなります。つまり、シニア期では痩せているより肥満のほうが、認知症にとってはマシということです。

 

なぜかというと、低体重であることで「フレイル (体がもろくなってしまうこと)」が進行してしまい、転倒して骨折してしまうなど認知症になるリスクがはるかに高まるからです。

 

過去の研究によると、「認知症進行の10年前」から体重減少が始まるとされています。ですからシニア世代の方は、体重がどんどん減っていないか?ということを確認しながら食事を摂っていただくのがいいと思います。

 

シニア世代では「体重を維持できている状態」がもっとも認知症リスクが低いとされています。

 

おわりに

以上をまとめると、現役世代の方は肥満であれば痩せましょう! 一方シニア世代の方は、痩せすぎも禁物ですので、肥満であっても無茶なダイエットは禁物です。特にタンパク質の摂取量が足りないと筋肉が失われてしまい、体重が減ってしまったり、転倒したりするリスクが高まりますので、タンパク質をしっかり確保するようにしましょう。

 

中でも、一番のおすすめは青魚です。青魚であれば、オメガ3脂肪酸も抗酸化物質も一緒に補うことが可能です。

 

日常生活のなかで、これらの点を意識した食生活を心がけ、健康寿命を延ばしましょう。

 

 

山本 康博

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。