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利回りが高い物件の注意点
利回りが高い物件を購入すれば儲かるわけではないため、高利回りの物件を運用する際には、主に以下の3つに注意しなければなりません。
●建物や設備の状態が悪い
●空室率が高い
●売却が難しい
高利回り物件の例や特徴とあわせて見ていきましょう。
■建物や設備の状態が悪い
利回りが高い物件のなかには、建物や設備が古かったり、不具合が発生したりするケースがあります。
設備の故障や不具合があると、入居者からのクレームにつながるので、修繕をしなければなりません。そういった修繕費用が物件価格から差し引かれることで物件価格が安くなり、利回りが高くなっている可能性があります。
また、耐震基準や建築基準法の基準を満たしていない物件を購入すると、賃貸経営に悪影響を与えてしまいます。事故や火災が起きたときに所有者責任に問われる場合があるので、購入前に基準を満たしている物件であるかを確認しておきましょう。
■空室率が高い
利回りが高い物件であっても空室率が高ければ、目標としている利益が得られない可能性があります。
不動産投資の利回りは、投資金額に対して得られる収益の割合を表した指標です。そのため、空室が増えて賃料収入が得られなければ、利回りが低下してしまうのです。不動産会社の利回りが満室を想定しているのであれば、提示されているほど高い利回りが期待できなくなります。
空室率が高い物件には、立地が悪かったり、物件設備に問題があったりといった相応の理由があります。「一時的に空室率が高まっている」と説明された場合は、過去数年間分の入居状況をさかのぼって確認しておきましょう。
■売却が難しい
物件の販売価格が低く設定されていることで、利回りが高くなっているケースがあります。そのような物件には、法規制によって再建築ができなかったり、賃貸需要が見込めないエリアだったりなど、高値で売れない理由があるかもしれません。
売却が難しい物件を購入すると、資産の入れ替えや現金化ができなくなってしまいます。不動産投資をする際は、利回りだけでなく運用後に売却できるかといった出口戦略にも注目しておきましょう。
利回りが高い不動産を購入する際の見るべきポイント
不動産投資で失敗しないためには、利回りが高い物件の注意点を踏まえた上で、見るべきポイントを押さえることが大切です。ここでは、高利回りの物件を購入する際のポイントを紹介します。
■レントロール
レントロールとは、賃貸借契約の条件を一覧にまとめた書類です。入居状況や間取り、賃料などが確認できるので、実際の賃貸経営をイメージしやすくなります。
契約開始日を見ると、入居者が入れ替わる頻度を確認できます。入退去が頻繁に繰り返されている場合、修繕や事務コストがかかってしまいます。また、長期居住している区画は、経年劣化による賃料値下げをしていない場合があるので、直近の入居者の家賃をもとに利回りを計算するとよいでしょう。
■実質利回り
不動産投資における利回りには、賃料収入から運用コストを差し引いて計算する「実質利回り」、運用コストを考慮していない「表面利回り」があります。
物件購入を検討する際は、不動産投資で実際に得られる利益に近い「実質利回り」を確認することが大切です。実質利回りが表示されていなければ、不動産会社に問い合わせてみましょう。
なかには、全区画満室を想定して計算する「想定利回り」で表示している物件もあります。その場合、収益物件に空室があると、購入時に想定していた利益が得られなくなってしまいます。
不動産投資で失敗しないためにも、どの状態で計算された利回りであるかを確認することが重要です。
■エリア
収益物件を購入する際は、エリアの確認も欠かせません。
物件周辺にパチンコや廃棄物処理場などの嫌悪施設があったり、賃貸需要がなかったりすると入居者が見つかりにくくなってしまいます。加えて、法規制で再建築できないなどの理由があれば、売却も難しくなるでしょう。
エリアを確認する際は、学生や会社員といった入居者の特性を見ることも大切です。学生であれば数年で退去するので、定期的に募集をかけなければなりません。また、学校や企業がなくなった場合に賃貸経営を続けられるかも重要な要素となります。
購入を検討する際は、物件周辺を実際に歩いて環境を確認しておくとよいでしょう。
不動産投資は利回りの高さだけでなく出口戦略が重要
不動産投資は利回りの高さだけでなく、運用後の物件をどのように処分するかといった「出口戦略」が重要です。
空室率が高かったり、賃貸需要が見込めないエリアだったりすると、相場より安い金額で売却しなければならないケースもあるでしょう。売却金額が想定を下回ると、これまでの賃料収入が相殺されてしまいます。
また、物件売却が進まずに相続した場合には、相続人同士のトラブルに発展してしまうことも考えられます。このような状況にならないためにも、利回りだけでなく「出口戦略」を考慮した上で物件を選びましょう。
まとめ
不動産投資は、利回りが高い物件を購入すれば儲かるわけではありません。
高利回りの物件には、空室率が高かったり、売却が難しかったりする理由がある可能性も考えられます。不動産投資を始める際は、本記事で紹介したレントロールや実質利回りなどの見るべきポイントを確認しながら、物件購入を進めていきましょう。
執筆:東本 隼之
ファイナンシャルプランナー(AFP・2級FP技能士)、マネーライター
独立系ファイナンシャルプランナーとして執筆業を中心に活動中。金融記事を中心に300記事以上の執筆・編集・監修を担当。税金・社会保険・資産運用・生命保険・不動産・相続分野を得意とし、自身の経験に基づいたライティングを強みとしている。難しい金融知識を初心者にわかりやすく伝えることが得意。
監修:悠木 まちゃ
ライター・編集者
宅建士・FP3級の資格保有。国立校の建築学科を卒業後、ハウスメーカーに勤務し、営業・設計職を担当。新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの設計などを手掛ける。
その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動。実務経験を活かし、不動産・金融系の分野を中心に記事執筆から編集まで行う。多数の企業メディアで編集を担当するほか、ライター向けオンラインサロンの添削講師としても活動している。