賃貸物件では、トラブルを防止するために入居者を日本人に限定するケースが少なくありません。しかし人口減少と少子高齢化が進展する日本において、外国人労働者への期待はますます高まり、日本への入国者数は今後も増えていくことが予想されます。本記事では、不動産投資を成功させるポイントのひとつとして「外国人入居者」に着目し、外国人を入居対象とするメリットや、文化の違いから生じやすいトラブルとその対策を解説します。
【大家さん向け】「外国人OKの賃貸物件」で不動産投資を成功させるポイント (※写真はイメージです/PIXTA)

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賃貸物件で外国人を入居対象とするメリット

賃貸物件で外国人を入居対象とするメリットには、主に次の3つが挙げられます。

 

  • 空室対策につながる
  • 紹介で次の入居者が決まりやすい
  • 周辺相場より高めの家賃を設定できる

 

それぞれ説明していきます。

 

①空室対策につながる

日本では外国人が入居できる賃貸物件が少ないため、入居可能であることを宣伝すると、早めに空室が埋まりやすくなっています。

 

実際に在留外国人数は増加傾向*で、2022年6月末時点で約296万人となっており、2021年末と比べて約20万人(7.3%)も増加している状況です。

 

*出入国在留管理庁『令和4年6月末現在における在留外国人数について』(https://www.moj.go.jp/isa/publications/press/13_00028.html)

 

需要に対して供給が少ないため、スムーズに入居が決まる上、転居する頻度も少ない傾向があります。契約すると長く住み続けるのも外国人入居者の特徴です。

 

②紹介で次の入居者が決まりやすい

外国人の入居者は、退去する際に次の入居者を紹介してくれることが多くあります。外国人労働者や留学生同士がつながりを持っており、入居先を探している知人に知らせるという流れです。

 

特に、外国人労働者が多く働く企業や、留学生の多い大学が近隣にある場合は、次の入居者が見つかりやすいでしょう。また、在留外国人同士がSNSでつながっている場合もあり、入居者が自発的に口コミを広めてくれることもあります。

 

③周辺相場より高めの家賃を設定できる

外国人が入居できる物件は限られており、選択肢が少ないため、周辺の家賃相場より高くても入居が決まりやすい点もメリットです。

 

また需要の高いエリアに位置する物件では、外国人を受け入れていることが少なく、貸主に有利な状況となっています。さらに家具・家電が備え付けられた部屋は人気があり、そのような需要がある物件であれば、高めの家賃設定でも入居が決まりやすい傾向があります。

外国人の入居時に生じやすいトラブル

外国人の入居受け入れにはメリットが多くありますが、文化の違いなどから生じやすいトラブルも3つあります。

 

  • 家賃滞納リスクがある
  • 無断で民泊や転貸を行う
  • 騒音問題やごみ出しのトラブルがある

 

ひとつずつ解説していきます。

 

①家賃滞納リスクがある

家賃滞納は日本人の入居者にも起こり得る問題ですが、外国人の場合は滞納したままで帰国したり、連絡が取れなくなったりするケースがあるため、対応が困難なことがあります。

 

また近年では減少していますが、退去する際に連絡が必要であることを理解していないため、無断で帰国してしまう例もありました。

 

荷物を残したままの場合、帰国したのか旅行中なのかを判断するのが難しく、対応が遅れる場合もあります。

 

②無断で民泊や転貸を行う

日本の賃貸物件では、無断転貸を禁止していることがほとんどです。しかし外国人の入居者の中には、民泊の運営を始めたり、無断で同居人を迎え入れたりするケースが見受けられます。

 

海外では部屋を知人に貸すことやルームシェアをすることが珍しくないため、認識の違いにより、このような問題が起こることがあります。

 

入居時の説明において、無断転貸や民泊などは禁止である旨を明確に伝えることが大切です。

 

③騒音問題やごみ出しのトラブルがある

外国人入居者によるトラブルとして、騒音問題やごみ出しのルールを守らないことも挙げられます。日本のごみ出しルールは外国人にとって馴染みがなく、加えて自治体によっても分別方法や出し方、曜日が異なります。

 

ごみ出しのマナー違反は、近隣住民からクレームを受ける可能性があるため、外国人入居者を迎える際には事前に説明しましょう。さらに、ごみ出しのルールについて室内にマニュアルを用意しておくことも有効です。

 

また、外国人入居者は友人を部屋に招いてパーティーなどを開くことがあり、騒音に対するクレームが近隣住民から寄せられることもあります。

 

外国人を入居対象とする際にトラブルを防ぐ対策

ここまでは外国人を迎え入れる際に生じる問題を紹介しましたが、次の対策を講じることによって、トラブルを回避することは可能です。

 

  • 外国人の対応が可能な管理会社に委託する
  • 保証会社を利用する

 

順番に見ていきましょう。

 

①外国人の対応が可能な管理会社に委託する

トラブルを回避するためには、外国人の対応に慣れた管理会社への委託がおすすめです。特に外国人スタッフが働いている不動産会社は、入居者とのコミュニケーションがスムーズにできます。

 

また、文化の違いによるトラブルや無断転貸、家賃滞納などのリスクを避けるためには、外国人が理解しやすい言葉で説明することが大切です。入居時には日本語だけではなく、英語やその他の言語でもマニュアルなどを用意するとよいでしょう。

 

②保証会社を利用する

家賃滞納などのトラブルに備えるためには、保証会社を利用することが有効です。家賃を滞納したまま無断で帰国してしまった場合に、家賃収入などが保証されるほか、残留物の撤去に対応してくれる保証会社もあります。

 

特に外国人の場合、日本で連帯保証人を立てることは難しいため、保証会社を利用することが現実的な解決策といえるでしょう。

 

まとめ

外国人を入居対象とすることで、空室対策や高めの家賃設定など多くのメリットが享受できます。文化の違いによるトラブルは懸念されますが、外国人の対応に慣れた管理会社や保証会社を利用すると、リスクを回避することが可能です。

 

また入居者との契約を自身で行わず、運用会社に任せるという選択肢もあります。たとえば一口1万円から始められる不動産クラウドファンディングでは、運用事業者が入居者と契約するため、投資家自身で対策を講じる必要はありません。

 

入居者の対応に不安がある方は、まずは少額投資から始めて、投資経験を積んでいくのもよいでしょう。

 

 

執筆:悠木 まちゃ

ライター・編集者

宅建士・FP3級の資格保有。国立校の建築学科を卒業後、ハウスメーカーに勤務し、営業・設計職を担当。新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの設計などを手掛ける。

その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動。実務経験を活かし、不動産・金融系の分野を中心に記事執筆から編集まで行う。多数の企業メディアで編集を担当するほか、ライター向けオンラインサロンの添削講師としても活動している。

 

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