憧れのマイホーム購入。住宅ローンを組む際に悩むのが、「変動金利」「固定金利」のどちらの金利タイプを選ぶか、という点です。双方に善し悪しがありますが、昨今の経済情勢を踏まえると、結論、どちらのほうが有利なのでしょうか? 長岡FP事務所代表の長岡理知氏が、「変動金利」を選んだAさんの事例をもとに解説します。
世帯年収1,000万円30代夫婦「絶対に変動金利!」を信じ…10年後に大後悔した“住宅ローン返済計画”【FPが解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

注意すべき「変動金利」のリスク

(※画像はイメージです/PIXTA)
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上記はあくまでも架空の話ですが、今後変動金利が上昇し続ければ、多くの家庭が破綻へと向かっていくことになります。変動金利でローンを組む際は、まさにその「金利が変動する」リスクに注意しなければいけません。

 

変動金利においては、返済額の急激な上昇を抑えるために「5年ルール」と「125%ルール」が規定されています。

 

・金利が上昇しても返済額は5年間変わらない

・返済額の上昇幅は従前の125%まで

 

Aさんのケースでも、金利上昇率は従前の125%に収まっていますが、ギリギリの家計であれば125%以下でも耐えられなくなります。この規定があっても、決して安全というわけではないということです。

 

「金利が上昇したら固定金利に借り換えればいい」と指南する住宅営業マンも多いのですが、これを前提とするのは無理があります。年齢が1歳上がるごとに審査は厳しくなり、もしも大きな病気を経験していればもう借り換えは不可能と思っていいでしょう。

 

“安く・手軽”なイメージの「ネット銀行」にも要注意

また、金利や手数料の低さから、ネット銀行の変動金利の住宅ローンを検討する方も多くいらっしゃいますが、ここにもリスクが存在します。

 

・「つなぎ融資※」に対応していない

・事務手数料が「元金×2.2%」と高額である

・担保価値が低い物件では断られやすい

・アフターケアが不安

 

※つなぎ融資:住宅を建築する過程で必要な資金や中古住宅購入後にリフォームする過程で必要な資金などへの支払いに利用する融資のこと

 

「つなぎ融資がない」ということは、注文住宅を買いたい方は利用できないということです。利用できるのは、マンションか建売住宅を検討する方に限られるでしょう。また、ネット銀行の審査は物件の「担保価値」を重視する傾向にあるため、地方のへんぴな立地では断られる可能性が高いといえます。

 

さらに、ネット銀行はアフターケアが乏しいため、大きな災害が起きたときなど万が一の場合に対応してもらえるかどうか不安があります。東日本大震災の際、債務の減免や猶予の対応をすぐに行ったメガバンクや地方銀行がありましたが、このような迅速なアフターケアをネット銀行には期待しづらいのが現実です。

 

こういった変動金利のリスクを回避するためには、固定金利の住宅ローン「フラット35」が選択肢のひとつとなります。