資産形成は「貯蓄」と「投資」の両面で行う
将来に向けてお金を準備するためには、資産形成が不可欠です。資産形成とは将来に備えてお金を長期的に増やしていくことで、「貯蓄」と「投資」の2つの方法があります。
貯蓄とは、銀行などにお金を預けることです。貯蓄は安全で安心な方法ですが、低金利が続いているので大きくお金が増えることはありません。一方の投資とは、株式や投資信託などにお金を投入し、値上がり益や配当金などで利益を得ることです。投資には元本割れのリスクがありますが、貯蓄よりも高いリターンを得られる可能性があります。
将来に向けた資産形成のためには、まず目標を明確にすることが重要です。目標が決まったら、それに合わせて貯蓄計画を立てます。収入と支出を考慮し、無理のない範囲で貯蓄額を決めることが大切です。
貯蓄を始めたら、着実に貯蓄を積み重ねるようにします。貯蓄額を増やしたい場合は、収入を増やしたり、支出を減らしたりするようにしましょう。また、投資に興味がある方は、リスクを理解した上で、資産の一部を投資に回すことも検討してみてください。
資産形成は、一朝一夕にできるものではありません。しかし、地道に積み重ねることで、将来的に経済的な安定を得ることができます。
投資の王道・株式投資ならではの「特典」
資産形成の投資の王道は「株式投資」です。そして、株式投資の利益には、インカムゲインとキャピタルゲインの2種類があります。インカムゲインとは、株式や債券などの資産を保有することで得られる収益のことです。インカムゲインには、配当金や利息、家賃収入などがあります。インカムゲインは、資産を保有することで得られる継続的な収入源となるため、資産運用の重要な要素となっているのです。
一方、株式や債券など保有する資産を売却することで得られる収益をキャピタルゲインといいます。
株式のインカムゲインでは配当金が一般的ですが、株主優待もインカムゲインになります。株主優待は、企業が株主に対して提供するプレゼントです。株主優待の内容は、自社製品やサービスの割引券、お米、図書カード、地域の特産品などさまざまです。株主優待を受けるためには、権利確定日に一定の株数を保有している必要があります。
株主優待は配当金と並んで、株主への利益還元の一環です。株主優待を実施している企業は1,500社以上あり、近年は優待を充実させる企業も増えています。株主優待は、配当金とは異なる形で企業の成長や業績を株主が享受できることから、投資の楽しみの一つとして注目されているのです。
「おすすめの株主優待」10銘柄
ここからは、「おすすめの株主優待」を10銘柄紹介します。
選定基準は下記の通りです。
- 投資家からの人気が高い
- 優待利回り(株主優待の価値〔金額換算〕÷投資金額×100)が高い
- 利用しやすく実用性が高い
- 企業業績が良い(業績が悪化すると株主優待の縮小や廃止の可能性がある)
1. イオンモール(8905)
●権利確定月 2月
●株価 1,874円(2023年6月29日時点)
イオンモールは日本最大の小売企業グループであるイオングループの中核企業で、日本全国で約180のショッピングセンターを運営する、日本におけるモール事業のリーディングカンパニーです。
イオンモールの株主優待は、ギフトカード、カタログギフト、カーボンオフセットサービスの購入から選択できます。ギフトカードは、イオンモールをはじめとする全国のイオングループ店舗で利用できます。カタログギフトは、3,000円相当の場合でも2,000点以上の中から選ぶことができるので、イオングループのお店が近くにない方や、非日常感を楽しみたい方にもおすすめです。カーボンオフセットサービスの購入は、温室効果ガス削減と地域活性化の促進に参加できるプランです。この優待を通じて、CO2等の温室効果ガス削減プロジェクトへの投資・国内での資金循環に貢献することができます。
2. 日本マクドナルドホールディングス(2702)
●権利確定月 6、12月
●株価 5,660円(2023年6月29日時点)
マクドナルドは世界中で愛されているハンバーガーチェーンです。1971年に日本で1号店をオープンして以来、「マック」「マクド」の愛称で親しまれています。マクドナルドの株主優待は、ハンバーガー、サイドメニュー、ドリンクが無料で食べられる食事優待券です。食事優待券は1枚ずつ切り離せるので、有効期限内であれば好きなときに使用できます。また、追加料金なしでバーガーのトッピングを追加したり、ドリンクやサイドメニューを増量したりすることも可能です。マクドナルドファンにはたまらない特典といえるでしょう。物価が高騰する中でも、食費を節約しながら外食を楽しむことができます。
3. フィスコ(3807)
●権利確定月 6月、12月
●株価 121円(2023年6月29日時点)
フィスコは、金融商品に関する情報提供や広告代理店業務を行っている会社です。「フィスコ企業研究レポート」を無料で発行しているほか、より詳細な情報を入手したい投資家向けに会員制サービス「クラブフィスコ」を提供しています。フィスコの株主には、「フィスコIPOナビ(リミテッド)」の無料利用券(1ヵ月6,600円相当)を贈呈しています。株式投資は情報が命です。通常は高額な投資情報を一定期間無料で利用できるというのは、投資家にとって魅力的な特典でしょう。
4. アイ・ケイ・ケイホールディングス(2198)
●権利確定月 4月
●株価 595円(2023年6月29日時点)
アイ・ケイ・ケイホールディングスは、ブライダル事業をメインに全国へ結婚式場を展開しています。株主優待は、特選お菓子、特選ギフト、レストラン優待券です。レストラン優待券は、フレンチの鉄人・坂井宏行シェフが手掛ける「ラ・ロシェル」3店舗、アイ・ケイ・ケイのレストラン「キュイジーヌ フランセーズ ラ・シャンス」をはじめとする7店舗などで利用できます。
5. オリエンタルランド(4661)
●権利確定月 3月、9月
●株価 5,644円(2023年6月29日時点)
オリエンタルランドは、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの2つのテーマパークを運営する企業です。上質なおもてなしとエンターテイメントで知られ、年間3,000万人以上の人を魅了しています。
オリエンタルランドの株主は「1デーパスポート(株主用パスポート)」がもらえます。2021年以降、パークチケットは変動価格制となり値上がりしました。2023年5月末現在、1デーパスポートは大人1人あたり7,900~9,400円。さらに2023年10月1日以降は、大人1人あたり7,900~10,900円へと改定されます。年間パスポートも休止中の今、東京ディズニーランドや東京ディズニーシーによく行く方にとって大変お得な優待です。また、株主用パスポートは通常の1デーパスポートとは異なるデザインで、配布時期ごとに絵柄が変更されるというのも、ファン心をくすぐるポイントです。
2023年9月末基準日より配布基準が変更され、所有株式数の下限が100株以上から500株以上に引き上げられますが、新たに長期保有株主向けの優遇が拡充されました。
長期保有株主とは、2023年9月30日の基準日以降、100株以上の株式を3年以上継続して保有する方を指します。
6. 良品計画(7453)
●権利確定月 2月、8月
●株価 1,431円(2023年6月29日時点)
良品計画は、シンプルで機能的な無印良品の商品を開発・販売する会社です。日常生活で使いやすい商品をデザインし、世界32ヵ国、約1,000店舗で販売しています。良品計画の株主には、全国の無印良品(店頭)で何度でも5%割引が受けられる優待カードが贈られます。この優待カードは、衣服、生活用品、食品、オリジナル家具やセレクト雑貨など、幅広い商品で利用できます。他の割引(全品10%オフになる無印良品週間など)との併用はできませんが、セールやマークダウンの対象はさらに5%オフで購入することができます。
7. リゾートトラスト(4681)
●権利確定月 3月
●株価 2,159.5円(2023年6月29日時点)
リゾートトラストは、日本全国で高級会員制リゾートホテルを運営しています。会員制リゾートホテル業界ではトップシェアを誇り、「エクシブ」をはじめとするさまざまなホテルブランドを日本全国で展開しています。また、ゴルフ場や診療所、有料老人ホームの運営など、事業の多角化を進めています。
リゾートトラストの株主には、エクシブおよびグループ店舗で利用できる割引券が贈呈されます。割引率は30%(1,000株以上は50%割引)と高く、割引券1枚につき5名まで利用可能。家族や友人と一緒にリゾートを楽しみたい方におすすめです。リゾートトラストの会員でなくとも、予約をしておけば「エクシブ」「ベイコート倶楽部」のホテル内レストランを利用でき、ラグジュアリーなサービスをお得に体験できます。
8. SBIグローバルアセットマネジメント(4765)
●権利確定月 3月
●株価 512円(2023年6月29日時点)
SBIグローバルアセットマネジメント(旧モーニングスター)は、投資信託の評価・調査会社です。投資信託の評価・調査レポートや投資家向けセミナーなどを通じて、個人投資家や法人向けに金融情報サービスを提供しています。
SBIグローバルアセットマネジメントの株主優待は、「株式新聞Web版」の6ヵ月無料購読(1ヵ月4,400円相当)クーポンです。「株式新聞Web版」は、スマートフォンやタブレット端末で株式や経済のニュースや情報を提供するサービスです。SBIグローバルアセットマネジメントの株主優待は、投資に役立つ情報を得たい方におすすめです。
9. 毎日コムネット(8908)
●権利確定月 5月
●株価 751円(2023年6月29日時点)
毎日コムネットは、立地やセキュリティに優れた学生マンションの開発・管理で長い実績があります。朝夕の食事を提供する「食事付き学生マンション」や、合宿・研修の企画手配なども行い、学生生活を総合的にサポートしています。
毎日コムネットの株主優待では、福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション(ダイジェストコース)」に会員として1年間加入できます。全国の宿泊施設や日帰り温泉、カラオケや映画館などのエンターテイメント施設などが会員特別価格で利用できるほか、水まわりやカギのトラブルなどのライフサポートまで、総合的なサポートサービスを受けられます。
旅、レジャー・エンタメ、グルメ、健康、介護など幅広いカテゴリでお得なサービスを受けられるので、まずはお住まいの地域で利用できるサービスを検索してみるのもよいでしょう。
10. ゆうちょ銀行(7182)
●権利確定月 3月
●株価 1,125.5円(2023年6月29日時点)
ゆうちょ銀行は、全国に2万4,000ヵ所以上の窓口と3万2,000台以上のATMを持つ日本最大の銀行です。日本郵政グループの一員であり、幅広い金融サービスを提供しています。
ゆうちょ銀行では株主優待として、500株以上を保有する方を対象に、オリジナルカタログ商品(3,000円相当)を贈呈しています。このカタログギフトには、全国の美味しいものを集めた「ふるさと小包」の取扱商品のほか、食品、雑貨、寄付、オリジナル切手などが掲載されています。
株主優待をもらうには?
株主優待を受けるためには、株主優待を受ける権利を有する月の最終日までに、必要な株数を購入する必要があります。
権利付き最終日とは、株主優待の権利が発生する最終日のことです。この日までに株式を購入すれば、翌日(権利落ち日)まで株式を保有している限り、株主優待を受けることができます。権利付き最終日は、権利確定日の2営業日前となります。たとえば、2023年9月の株主優待を受け取るには9月27日、2024年3月の株主優待を受け取るには3月27日までに株を購入する必要があります。
株主優待を受けるためには、権利付き最終日までに必要な株数を購入しないといけません。必要な株数は銘柄ごとに異なります。各銘柄の必要株数は、その銘柄のホームページや証券会社で確認できます。
まとめ
株主優待とは、企業が株主に対して提供する金銭、物品、サービスなどの特典のことです。企業が株主に対して感謝の意を表し、より多くの株主を獲得するために実施します。興味のある株主優待を選ぶのはもちろん、株主優待利回りを計算して購入するのもおすすめです。
株主優待利回りとは、投資額に対する株主優待の割合のことです。株式の購入金額に対する株主優待の価値を数値化したもので、個人投資家が収益率の高い優待銘柄を見つけるための指標の一つです。
計算式は、「株主優待利回り(%)=株主優待の価値(金額換算)÷投資金額×100」です。一般的に、数値が高いほど収益性の高い優待であることを意味します。株主優待利回りは、優待銘柄を選ぶ際に役立つ指標の一つですが、投資判断の際には、必ず他の指標も併用して、総合的に判断するようにしましょう。
山下 耕太郎(金融・投資ライター)
一橋大学経済学部卒業後、証券会社で営業・マーケットアナリスト・先物ディーラーを経て個人投資家・金融ライターに転身。投資歴20年以上。現在は金融ライターをしながら、現物株・先物・FX・CFDなど幅広い商品で運用を行う。保有資格は証券外務員一種。