同期入社で結婚、共働きで定年まで働いたL夫妻は、多忙ながらも順風満帆な人生を送ってきました。事故で足を悪くした妻のため、自宅を売って有料老人ホームに入居したLさん。新たな住まいで快適な暮らしを満喫していたL夫妻でしたが、入居後届いた請求書をみて、Lさんは愕然としました……。今回、株式会社FAMORE代表取締役の武田拓也氏が、L夫妻の事例をもとに「安易な老人ホーム選び」の危険性を警告します。
年金月29万円、退職金2,400万円の68歳・勝ち組夫婦…余裕の老後が一転、驚愕の“老人ホーム請求額”に夫「なにかの間違いでは」【FPが警告】 (※写真はイメージです/PIXTA)

共働きで「順風満帆な人生」を送っていたL夫婦だったが…

都内の準大手メーカーに勤めていたLさんご夫妻。同期入社の同い年で、付き合いはじめて2年後、30歳で結婚、33歳の頃にお子さんが産まれました。産休・育休が整っていた時代ではありませんでしたが、お子さんを保育園に入れられたタイミングで、奥様は運よく復職し、ご両親の手助けもありながら共働き生活を送ることができたそうです。

 

お子さんが小学生になるタイミングで子育てのしやすい郊外に5,000万円のマンションを購入(夫婦は39歳)。2馬力で世帯年収は1,200万円ほどあり、頭金として500万円をいれて4,500万円の30年ローンを組みました。

 

定年退職時、ローン残額およそ1,600万円を退職金で繰り上げ返済。年金も2人で月29万円と十分にあり、悠々自適なセカンドライフを満喫していたL夫妻でしたが、奥様が66歳の頃に事故で足を悪くしたことをきっかけに、2人の「余裕の老後生活」の歯車が狂いはじめたのです。

「郊外は不便だから」…都内の有料老人ホームに入居

奥様が足を悪くし、現在の住まいが不便になったことから、老人ホームの入居を検討しはじめたL夫妻。築30年になる郊外の自宅マンションの売却を決断します。

 

L夫妻のマンションは最寄りの駅から徒歩16分と距離があるため利便性が良いとはいえないものの、バス停までは徒歩5分圏内であったことや、共用部分の維持管理が行き届いていること、そして地価の高騰などもあり、約3,500万円で売却できました。

 

まとまった金額が入り、気が大きくなったLさんは「妻との終の棲家、どうせならケチりたくないな……年金もあるし、問題ないだろう」と、入居一時金として500万円を払って住宅型有料老人ホームに入居することにしました。

 

パンフレットには「家賃」「食費」「管理費」の合計は2人で月36万円と記載されており、年金+家が売れたお金でなんとかなるだろうと甘く考えていたLさん。

 

ところが、実際に施設へ転居してから請求された金額を見てみると、パンフレットに記載されていた金額よりも8万円も高い「44万円」と記載されているではありませんか。Lさんは思わず「なにかの間違いでは」と声に出してしまいました。