(※画像はイメージです/PIXTA)

障がいのある子を持つ親の1番の懸念事項は、「親亡き後の子どもの生活」です。自分の死後も、我が子が安心して暮らせるようにするにはどうすれば……こうした懸念への有効策のひとつが「家族信託」の活用と、司法書士法人ソレイユ代表の杉谷範子氏はいいます。家族信託を活用することでどのようなことができるのか、仕組みとともにわかりやすく解説します。

「8050問題」のすぐ後に潜む「親の亡き後問題」

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2025年には、いわゆる「団塊の世代」全員が75歳を迎え、後期高齢者となります。親世代の高齢化にともなって、当然子ども世代も歳を重ねていきます。

 

80代の親が、50代の知的障がいや精神障がい、ひきこもり等で自立できない子どもの世話をしなくてはならない状況を「8050(ハチマルゴーマル)問題」といい、現在その世帯数は増加しています。

 

高齢になった親は近いうちに亡くなることでしょう。しかし、その後の子どもの生活は誰が支えていくことになるのでしょうか? 8050問題のすぐ先に見えてくるのは、“親亡き後問題”です。

 

障がいのある子を抱える親は、「自分が亡くなった後、子どもが不自由な思いをするのではないか」と気がかりで仕方ありませんが、何から始めていいのかわかりません。そこで、子ども名義の預金を積み立てる、子ども名義で不動産を持たせるなど、「とりあえず子ども名義で財産を増やす」行動をとる親が多いのが現実です。

 

しかし、気をつけなくてはならないのは、子ども名義の財産を子ども自身が管理したり、処分したりすることができるのかということです。子どもが金融機関へ出向いて預金を引き出したり、振り込んだりできるでしょうか。また、不動産の売買契約を結べるでしょうか。

 

同様に、遺言を作成し、直接子どもへ相続させることにも注意が必要です。

 

財産を守るのに有効だが…「成年後見制度」には隠れた落とし穴も

自分自身で財産を管理できない方のために用意されている「成年後見制度」をご存知でしょうか。“事前に何も対策をしないまま”親が高齢になったり亡くなったりして、子どもの財産管理ができなくなると、成年後見人を家庭裁判所に選んでもらい、後見人が子どもの代理人になります。これを「法定後見」といいます。

 

しかし、子どもの財産が多い場合には、家庭裁判所は親族ではなく、まったく見ず知らずの司法書士や弁護士の「専門職後見人」を選ぶ傾向にあります。はたしてその専門家が子どものためになるように財産を使ってくれるのか……悲しいことに、親は見届けることはできません。

 

後見人の役割は子どものために財産を守ることですが、子どもの意思を汲み取って、かつ子ども自身の充実した生活のために財産を使うこととのバランスはとても難しいのです。美容や旅行のための出費など、後見人が「ムダ遣い」と判断すれば、今まで親が子どものために使えていた金銭を支出できなくなる事例もあります。

 

せっかく子どものために築いた財産を、親の希望する用途に従って使ってくれるとは限らない――。「子ども名義で財産を増やさないように」という理由はここにあります。

 

子どものための財産は、残した後「子どものために財産を使ってあげられる仕組み」が必要なのです。その方法のひとつが、通称、「家族信託」「民事信託」といわれる制度です。

 

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本記事は、株式会社クレディセゾンが運営する『セゾンのくらし大研究』のコラムより、一部編集のうえ転載したものです。

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