「75歳おひとり様」が生きていくのに「最もお金がかからない」都道府県は?
ただ老後の生活を語るうえでよく用いられる『家計調査』ですが、
――1人暮らしで月14万円? そんなに使わないでしょ
――足りなければ、節約すればいいだけの話
という声も。そこでみていきたいのが「最低生活費」。この水準を下回れば、生活保護の対象となるものです。
生活保護といっても家庭の状況によって支給される内容はさまざまですが、仮に75歳1人暮らしであれば、日常生活を送るのに必要な費用である「生活扶助」と、アパートなどの家賃などにあたる「住宅扶助」が受けられると考えられます。ただし持ち家の場合は住宅扶助は受けられません。
都道府県(県庁所在地)における、75歳、1人暮らしの場合の「生活扶助基準額」をみていくと、7都府県で7万1,900円と最も高く、33県で6万5,470円と最も低くなっています。その差は5,000円ほど。日本全国、都市であれば月7万円ほどあれば生活費は何とかなるといえそうです。
あと、おひとり様で心配なのが住まい。2人以上の高齢者世帯の持ち家率は9割を超えますが、おひとり様高齢者の場合は6割程度。多くのおひとり様高齢者は家賃の心配もしなければなりません。
家賃の地域差は大きく、「住宅扶助基準額」が最も大きいのは「東京都」で5万3,700円。一方で最も安いのは「山梨県」「徳島県」「大分県」で2万9,000円。その差、2万5,000円ほどとなります。
そして「生活扶助基準額」+「住宅扶助基準額」の合計である生活保護費が最も高いのが「東京都」で12万5,600円。貯蓄なしのおひとり様高齢者は、持ち家でなければ生きていくのはしんどそうです。
一方、最も安いのが、先ほどの3県で9万4,470円。貯蓄なし・家なしのおひとり様の場合、逆算で年金11万円ほどあれば、この3都市でなんとか生きていけると考えられます。
ただし厚生年金受給者で年金月11万円未満は488万人で全体の30.2%。このなかに該当者がどれほどいるか分かりませんが、貯蓄なし・家なしのおひとり様がこの日本で生きていくのは、かなりしんどいことであることは確かなよう。おひとり様といっても、状況によって最低生活費もさまざま。悲しい末路を辿ることのないよう、万全に備えて老後生活を迎えたいものです。