「オルタナティブ・データ」による災害の「見える化」
「オルタナティブ・データ」とは?
言葉の意味合いとしては「代替のデータ」となり、これまで活用されてこなかったデータのことを指します。たとえば金融の領域では、政府が発表するGDPなどの経済統計や、企業の財務情報といったデータが伝統的に使われてきました(これを対義語的に「トラディショナル・データ」といいます)。
しかし昨今は、店舗で取得できるPOSデータ(※)や、スマートフォンの位置情報から集められる人流データ(いつどこに何人いるのか、を把握できるデータ)、人工衛星から撮影した画像など、これまで得ることが難しかった新しいデータが取得可能になってきています。
※ POSデータ:コンビニやスーパーで広く使われている商品のバーコードを読み取り、「なにを・いつ・いくらで・何個販売したのか」といった販売情報を集積するシステムを搭載した“POSレジ”を活用し、取得した顧客の消費行動をデータ化したもののこと
そこで、機関投資家は投資判断を行うのに、「オルタナティブ・データ」を活用し始めています。たとえば人工衛星で撮影したスーパーマーケットの駐車場の混み具合を前年と比較して売上を予測するなどの活用が本格的に始まっています。企業の財務情報などのトラディショナル・データとオルタナティブ・データの併用が、より正確性の高い未来予測を可能にします。
・「防災」にも活用されるオルタナティブ・データ
防災の世界においても、気象庁が発表する気象に関する情報や、地方自治体が発信する測定値などのトラディショナル・データは引き続き重要ですが、そこに加えてオルタナティブ・データを活用していく流れが今後強くなっていくと考えられます。
皆さんも体感されているように、地球温暖化によって自然災害は多発化・激甚化しており、防災を進化させてより多くの人命や資産を守っていくことが喫緊の課題だからです。