「過剰なき美邸」をキャッチコピーに、経済性・機能性・デザイン性を絶妙なバランスで兼ね備えた住宅「MODEL CODE(モデルコード)」がジワジワと注目を集めている。注文住宅と規格住宅の間にある「第三の選択肢」に込められた想いとは? モデルコードの企画開発者であり設計から広告製作までを一手に引き受ける、株式会社プロムスタイルの河部吉孝氏へのインタビュー。今回も引き続き、モデルコードの基本理念について伺っていく。

美的感覚の損なわれた街並みを露呈する先進国・日本

施主の無謀な要望、あるいは建築家の過剰な作家性を反映させた結果、高価で住みにくい仕上がりとなってしまう注文住宅。そしてハウスメーカーの利潤追求が最優先された規格住宅。そのいずれにも河部氏は疑問を抱いてきた。彼の厳しい眼差しは、一戸の住宅だけでなく地域全体にまで向けられている。

 

河部「住宅が施主の『私物』であることは大前提なのですが、土地と建物は外部に晒されているわけですから『公共物』でもあります。日本人にはこの感覚が欠落しており、施主の好き放題がまかり通ってしまう。その結果、地域の景観が大きく損なわれています」

 

日本の中でしか生活を営んでこなかった人が欧州へ訪れ、整然と調和の取れた美しい街並みにカルチャーショックを受けたという話は、よく聞かれる。設計条件の規制を厳格に組み入れたうえで都市計画を推進する欧州に比べ、日本の街並みはあまりに雑多。無計画を指摘されても、返す言葉が見当たらない。

 

河部「日本は敗戦や震災を経験する中で、焼け野原にがむしゃらに建物を建ててきました。クラッシュアンドビルドで取引を活発化させ、経済を回していくことしか考えてこなかったので、地域の景観維持は二の次どころか四の五の話となっています。近年は歴史豊かな京都でさえも、来日した外国人を魅了するには、景観を小さく切り取る以外ありません」

 

先進国に名を連ねる世界各国の中で、美的感覚の損なわれた街並みを露呈しているのは日本だけだと河部氏はため息をつく。しかし「施主の希望を最大限に反映した世界にひとつの注文住宅」を理想とする現代日本人に、意識改革を促すのはなかなか難しそうだ。河部氏はどのようなきっかけを機に問題意識を抱くようになったのだろうか。

 

志に信念を与えた、緑豊かな分譲地

河部「もう20年以上前の話なのですが、新婚当時に近所を妻と散歩をしている時、驚くほど美しい分譲地に出合ったことを今でもはっきりと覚えています」

 

河部氏が言及しているのは、日本の著名な建築家であり、東京芸術大学の名誉教授でもあった元倉眞琴氏の手掛けた分譲地。後にリサーチした結果、施工は鹿島建設株式会社が手掛けていたこともわかったという。

 

河部「道路と土地を区割りしたうえで、土地を塀で囲い『ここからは自分の土地である』とアピールしたがるのが日本人です。しかしその分譲地には、塀が一切ありませんでした。また道路は両端にL型側溝を設けるのではなく、真ん中にセンター排水を設けることで道はフラットに敷地へと伸びていました。さらに家と家、家と道路の間に多くの植栽を施し、敢えて越境させることで全体を美しく融合させていたのです。あそこまでしっかりと整備された分譲地は記憶にありませんでした。素晴らしかったです。各戸の価値でなく、全体が見事に調和することで美しい景色が360度の方位に広がっていたのです」

 

一本筋の通った計画のもとに整備された分譲地は美景を生み出す……河部氏は実例を参考に自らの信念を固めていった。また「美しい家や、その集合体である街並みには必ず緑がある」という認識も、深めていくことになる。

 

河部「作り手は家だけでなく、景観を作っているのだという意識を持たなくてはなりません。どんなに美しい家を建てても、それは人工美に過ぎない。自然美が重なることで、初めて人工美が引き立つのです。

 

私共は、商品であるモデルコードを『経済性・機能性・デザイン性を絶妙なバランスで兼ね備えた住宅』と謳っています。しかしそのモデルコードも、緑がなければただのバラックに過ぎません」

植栽とその剪定を請負条件に付加

河部氏に強い感銘を与えたその分譲地。しかし10年ほど前に同地を再訪した際、変わり果てた景観に失望を覚えることとなった。

 

河部「残念ながら、各戸の施主たちが植栽の剪定を怠っていたため、美しい景観は損なわれていました。例え見事に具現化された理念でも、住む人が理解共有していかなければ美景を保つことはできないのです。自宅は私物ではなく、景観を構成する公共物のひとつでもあるという認識が日本人にはまだまだ不足しています」

 

「美と機能のバランスに秀でた希少な創り手にすべてを任せなければ、数十年先も快適に過ごせるマイホームは実現しない」。そんな強い信念への同意を条件に建設を請け負うというモデルコード。その同意書の中には、植栽に関する項目も含まれるという。

 

河部「人と家屋と自然は一対という考えのもと、低中木の植栽を施させていただきます。更にその永続のため、伐採せず年に一度の剪定を業者に依頼していただくことが請負条件のひとつとなっております」

 

「施主第一」の営業姿勢が一般的となった日本の住宅業界において、異彩を放つモデルコード。「縛りがある」と感じる反面、住み心地にこだわる規格と「戸ではなく地域で考える」という理念に共感を覚えた人も多いのではないだろうか。

 

作品住宅と商品住宅の間にある選択肢
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