「過剰なき美邸」をキャッチコピーに、経済性・機能性・デザイン性を絶妙なバランスで兼ね備えた住宅「MODEL CODE(モデルコード)」がジワジワと注目を集めている。注文住宅と規格住宅の間にある「第三の選択肢」に込められた想いとは? モデルコードの企画開発者であり設計から広告製作までを一手に引き受ける、株式会社プロムスタイルの河部吉孝氏に話を伺った。

作品住宅と商品住宅の狭間で育まれた視点

住宅購入の現場では、施主の理想や要望を詰め込む注文住宅に人気が集まる。ただし費用が嵩むため、手軽な建売や規格住宅の購入で折り合いをつけるという選択も珍しくはない。そんな日本の住宅購入事情、そして実際に販売されている商品に河部氏は異を唱える。

 

河部「まず注文住宅の場合、施主はとにかく自分たちの希望を詰め込みたがります。不動産や建築業界に37年身を置く私は、注文住宅建設の現場に何度となく立ち会い、施主の要望が二転三転から四転五転と変化していくのを見てきました。施主自身が『何が良いのか』を正確に把握しないまま、その時の気分で物を言われるケースがほとんどなのです。作り手がその気まぐれに振り回されていては良い住宅に仕上がらないのも当然です。

 

また規格住宅の場合は、住宅会社の利益追求が最優先されています。『安くて施工し易い建材・素材を選ぶことで、作業の回転率や受注率を高めていく……それこそが正義』と考えられているわけですね」

 

建設会社の施工現場でキャリアをスタートさせた河部氏は、不動産会社の営業職などを経ていくなかで、業界の常識に強烈な違和感を覚え始めた。そして、住まいにあるべき要件をバランスよく揃えた住宅本来の在り方を模索していくようになる。

 

河部「社会人になって直ぐに一流の建築家の先生とお仕事をさせていただきました。施工中、いつ訪れても新鮮な印象を与えてくれる設計への感嘆だけではなく、総てが特注で創られる過剰な作家性をも把握することができました。そして『費用の安さではなく全体の調和を念頭に置き、洗練された既製品だけをセレクトすれば流行や時代にとらわれず、建築家の作品にも引けを取らない規格住宅の実現が可能になるのではないか』と考えるようになったのです」

 

最低限の身だしなみさえ整えられていない住宅への苛立ち

「一生に一度の買物だからこそ、施主のこだわりをたっぷり詰め込み、世界にひとつしかない住宅を作ってあげよう!」という価値観は、過去数十年の時間をかけ一般化してきた。「注文住宅=最高」という公式が刷り込まれているからこそ、河部氏の抱く規格住宅のビジョンに疑問を感じる人も多いのではないだろうか。その点について、もう少しくわしくお話を伺ってみることにしよう。

 

河部「料理の場合、一流シェフに素材や調理法について口出しをする人はいません。すべてお任せした方が最良の一皿を味わえるからです。住宅についても同じ。プロではない方々が熟慮せずに決めた選択では、数十年の歳月に耐えることはできません。

 

敷地には『限り』があり、総てを叶えることは不可能だという事実を無視し、総てを詰め込んだ「しわよせ」は、狭さや収納不足などの致命傷を招き、その致命傷に次第にストレスを募らせるようになり、最終的には何十年も先まで残ったローンにため息をつく結果となってしまいます。

 

近年の住宅会社には、受注欲しさから施主に迎合してしまう傾向があります。上物をすべて取り壊し、更地にしてからでないと再販できない住宅が多いのは家づくりの基本に敬意が払われていないからではないでしょうか。このためモデルコードは請負であってもすべてお任せいただくご同意を条件に受注させていただいております」

 

また河部氏は長年、「最低限の身だしなみさえ整えられていない住宅」に苛立ちを募らせてきたという。指摘されなければ気づかないほど当たり前になった、住宅の醜い外観とは?

 

河部「代表的なのはエアコンの室外機と冷媒管、そして物干しが丸見えとなったベランダですね。これらをどう隠すのか考えたうえで、設計にあたれる建築士は本当に少ない。規格住宅であればなおさらです。また窓の配置に疑問を感じることも多々あります。開けても隣家とコンニチハしてしまう位置に、なぜ窓を設けるのか? 納得のいく理由が見出せない住宅は数多いのです。

 

モデルコードを設計する際は、あらかじめ何をどう隠すのかを念頭に置きつつ作業を進めていきます。ベランダは道路から見えない位置に設置する、室外機がどうしても隠せない状況であれば天井カセット型のエアコンを採用し、配管も這わせて裏側へ持っていく……、といった具合ですね。もちろん窓についても同様。建設地の環境を最大限に考慮したうえで配置いたします」

 

――デティールに凝り、理想や希望を追求する前に、やるべきことがあるのではないか?

――手軽で安価なだけでなく、魅力にあふれた規格住宅を商品化することは可能なのではないか?

 

そんな思いが河部氏を突き動かし、モデルコードという商品の誕生へつながっていくことになる。

 

作品住宅と商品住宅の間にある選択肢
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