なぜ大切な我が子なのに、育児をしんどく感じてしまうのか。ニッセイ基礎研究所の乾愛氏が対児感情尺度からみえる育児負担感について考察していきます。
育児は何がしんどいのか?育児の負担感と肯定感には「夜間起床回数」と「育児協力者の有無」が有意に影響 (写真はイメージです/PIXTA)

3―対児感情尺度「育児への束縛による負担感」についての要因分析

まず、対児感情尺度の5つの項目のうち、「育児への束縛による負担感」への影響について、重回帰分析した結果を、【図表1】へ示す。

 

【図表1】
【図表1】

 

分析の結果、「育児への束縛による負担感」について、育児協力者の有無(P=0.014)、睡眠時間(P=0.007)、夜間起床回数(P=0.001)、主観的健康度(P=0.001)が、有意な影響を与えていることが明らかとなった。

 

この結果を詳細に解釈していくと、育児協力者がいない者は(育児協力者がいるものと比べて)、睡眠時間が短いほど、夜間起床回数が多いほど、主観的健康度が悪いほど、育児への束縛による負担感が高くなる結果が示された。

 

4―対児感情尺度「子どもの態度や行為への負担感」についての要因分析

次に、対児感情尺度の5つの項目のうち、「子どもの態度や行為への負担感」への影響について、重回帰分析した結果を、【図表2】へ示す。

 

【図表2】
【図表2】

 

分析の結果、「子どもの態度や行為への負担感」について、年齢(P=0.001)、睡眠時間(P=0.003)、夜間起床回数(P=0.001)が、有意な影響を与えていることが明らかとなった。

 

また、この結果を詳細に解釈していくと、年齢が高くなるほど(年齢が低い者と比べて)、睡眠時間が短いほど、夜間起床回数が多いほど、子どもの態度や行為への負担感が高くなる結果が示された。

 

5―対児感情尺度「育て方への不安感」についての要因分析

続いて、対児感情尺度の5つの項目のうち、「育て方への不安感」への影響について、重回帰分析した結果を、【図表3】へ示す。

 

【図表3】
【図表3】

 

分析の結果、「育て方への不安感」について、寝具の状況(P=0.011)、夜間起床回数(P=0.012)、主観的健健康度(P=0.004)が、有意な影響を与えていることが明らかとなった。

 

また、この結果を詳細に解釈していくと、親と子どもの寝具が別寝具であるほど(同寝具と比べて)、夜間起床回数が多いほど、主観的健康度が悪いほど、育て方への不安感が高くなる結果が示された。

 

6―対児感情尺度「育ちへの不安感」についての要因分析

続いて、対児感情尺度の5つの項目のうち、「育ちへの不安感」への影響について、重回帰分析した結果を、【図表4】へ示す。

 

【図表4】
【図表4】

 

分析の結果、「育ちへの不安感」について、年齢(P=0.013)、育児協力者の有無(P=0.039)、 夜間起床回数(P=0.028)が、有意な影響を与えていることが明らかとなった。

 

また、この結果を詳細に解釈していくと、年齢が高いほど(年齢が低いものと比べて)、育児協力者がいない者は(育児協力者がいる者と比べて)、夜間起床回数が多いほど、育ちへの不安感が高くなる結果が示された。

 

7―対児感情尺度「育児への肯定感」についての要因分析

最後に、対児感情尺度の5つの項目のうち、「育児への肯定感」への影響について、重回帰分析した結果を、【図表5】へ示す。

 

【図表5】
【図表5】

 

分析の結果、「育児への肯定感」について、育児協力者の有無(P=0.008)、 夜間起床回数(P=0.033)が、有意な影響を与えていることが明らかとなった。

 

また、この結果を詳細に解釈していくと、育児協力者がいる者は(育児協力者がいないものと比べて)、夜間起床回数が少ない者は(夜間起床回数が多いものと比べて)、育児への肯定感が高くなる結果が示された。