年収200万円台の非正規社員…受け取る「年金額」も残酷
49歳で月収21万円。手取りは独身であれば16万円ほど。ライフスタイルによりますが、楽な生活ができるほどの給与とはいえないでしょう。そこにきて、この物価高。総務省統計局『小売物価統計調査』によると、2023年2月、食パン1㎏あたりの平均価格(全国)は480円。前年同月444円から8%ほど上昇。このときすでにロシアによるウクライナ侵攻で急激な物価高が始まっていますから、2021年12月と比較すると15%アップ。ちょっと買うのに勇気がいる値上がりです。
――パンの耳をお昼ご飯にして
以前、そんな非正規社員のつぶやきが話題になりました。手取り16万円。家賃も高い東京などの都会暮らしなら、そんな生活でも上々かもしれません。
そんな非正規社員ですが、これから先も過酷です。仮に20歳から非正規社員の平均的な給与を手にしてきたと仮定します。60歳定年で引退した場合、65歳から手にする年金は、厚生年金部分が5.2万円。国民年金と合わせると11.6万円です。会社員が65歳で手にする平均年金額は17万円といわれていますから、老後においても大きな差が生じてしまいます。
月11.6万円。それがすべて生活費になるわけではなく、そこから税金に保険料も天引きされて……それで生きていけというのもあまりに過酷です。
では65歳まで働いたとしたらどうでしょう。厚生年金部分は5.9万円と7,000円アップ。国民年金と合わせて、12.3万円になります……やはり、生活するのもツラい水準です。
では70歳まで働くとしましょう。厚生年金は原則70歳まで加入できますから、その分、厚生年金部分は増額が見込まれます。さらに年金の受取額がアップする繰下げ受給を希望すると、年金の受取額は月18.4万円になる計算。原則65歳からの年金を受け取らず、70歳まで歯を食いしばり働くと、平均的な年金を受け取れるようになる……それが非正規社員の現状です。
もちろん、これは非正規社員の平均値で考えたもの。非正規社員のなかでも給与差があり、さらに低所得で苦しむ人もいます。そうなると、どんなに頑張っても人並み以上の年金を手にすることはない……そんな絶望的な未来が確定しています。