2022年末、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」の具体策としてNISA制度の見直しが行われ、2024年から「新NISA」がスタートすることになりました。現行のNISAと「新NISA」では、具体的になにがどう変わるのでしょうか。多賀谷会計事務所の税理士・CFPの宮路幸人氏が解説します。
「新NISA」まで待つのはもったいない!「現行NISA」と組み合わせると「最大1,920万円」非課税になる驚きのカラクリ【税理士が解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

「現行NISA」と「新NISA」の違い 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

では、新しいNISAとはどのような点が変更となったのでしょうか?以下の図でみてみましょう。 

 

出所:筆者作成 
[図表]現行NISAと新NISAの違い  出所:筆者作成 


主な改正点は以下の5点となります。 

 

1.一般NISA(成長投資枠)とつみたてNISA(つみたて投資枠)の併用が可能に 

今までは、「一般NISA」と「つみたてNISA」の2つの方式のうちどちらかを選択する方式でしたが、新NISA制度では、一般NISAは「成長投資枠」、つみたてNISAは「つみたて投資枠」とそれぞれ名称が変更され、併用することが可能となりました。 

 

2.年間投資上限額が最大360万円に拡大 

今までは、一般NISAを選んだ場合は120万円、つみたてNISAを選んだ場合は40万円でしたが、新NISA制度では360万円と大幅に拡大します。 内訳としては、一般NISAにあたる「成長投資枠」が2倍の年間240万円、つみたてNISAにあたる「つみたて投資枠」が3倍の120万円となっております。 

 

3.生涯非課税限度額が最大1,800万円で新設

今までは、生涯限度額といった概念はなく、一般NISAが120万円×5年間=600万円、つみたてNISAが40万円×20年間=800万円が実質的な上限でした。しかし、今回の改正で新たに「生涯非課税限度額」が合計1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円)に設定されました。また新NISA制度では、買付時点で枠を消費して売却した場合は、またその枠が使えるようになりました。 

 

4.非課税保有期間の無期限化 

今までは、一般NISAで5年間、つみたてNISAで20年間と非課税保有期間が定められていました。(ただしロールオ-バ-で一部期間の延長は可)。その点、新NISAでは非課税保有期間が成長投資枠・つみたて投資枠ともに無期限になります。 

 

5.制度の恒久化

現行、一般NISAは2028年まで、つみたてNISAは2042年まで(新規買付は2023年まで)と利用期間が定められていましたが、新NISA制度では恒久化されました。