「新NISA」がもたらす個人投資家への影響
2014年より始まっているNISAですが、種類が多く、開設手続きも煩雑であることから、「一般の方にわかりにくい」といわれてきました。また、“日本人の資産形成のために”と作られた制度ではあるものの、金額も期間も限られており、損失が出た場合にNISA口座以外の利益と合算することができないというデメリットなどもあり、あまり魅力的な制度とはいえず利用者も伸び悩んでいました。
今回、上限額が大幅に引き上げられたことや制度の恒久化といった改正が行われたことで、投資家にとってなかなか魅力的な制度となったのではないでしょうか。これまでのデメリットがだいぶ解消されることとなり、今まで投資になじみがなかった方への普及が期待されます。
新NISA制度をうまくPRできれば、政府の目指している5年後までの利用者の倍増と、買い付け額の倍増が実現し、証券市場の活性化が可能となるかもしれません。
非課税制度を上手く活用して「賢く貯める」
いかがだったでしょうか? 新NISA制度は、投資対象や運用期間、投資金額が柔軟に選べるようになり、使い勝手がかなり良い制度となっています。
また、改正前のNISAに投資した商品は、新制度の「生涯非課税投資枠」と別枠で、現行の非課税投資期間終了まで保有することができ、現行制度で投資した分だけ非課税で運用できる資産総額が増えるため、まだNISAを始めていない方は改正後の2024年を待たずに、2023年から始めてもいいかもしれません。
たとえば、2023年から一般NISAを始めた場合、限度額120万円の投資+新NISAの最大1,800万円=最大1,920万円が非課税投資枠として使えることになります。
iDeCoの利用もおすすめ
また、NISAのほかにも、「個人型確定拠出年金(iDeCoイデコ)」というものがあります。これは簡単にいうと、「将来受け取る年金を自分で積み立てていく」という制度です。積み立てで掛金を拠出し、自分で選んだ商品で運用を行い、60歳以降に年金または一時金として受け取ることができます。
掛金は、たとえば企業年金等に加入していない会社員(第2号被保険者)は月額2万3,000円(年額27万6,000円)まで所得税の計算において全額所得控除することができ、節税が可能です。また、iDeCoの運用益は非課税となります。
ただし元本割れのリスクもあるため、ポートフォリオを組む際は「安定性重視」でいくか、「収益性重視」でいくか慎重に検討する必要があります。
NISAで株式投資に慣れ、興味を持たれたら、節税メリットの高いiDeCoの加入も検討されると良いでしょう。また、証券会社の特定口座等を活用し、株式・投資信託なども始めることもおすすめです。
うまく制度を活用し、あなたの理想の資産形成に役立てていただければ幸いです。
多賀谷会計事務所・税理士/CFP 宮路 幸人