2022年末、岸田政権が掲げる「資産所得倍増プラン」の具体策としてNISA制度の見直しが行われ、2024年から「新NISA」がスタートすることになりました。現行のNISAと「新NISA」では、具体的になにがどう変わるのでしょうか。多賀谷会計事務所の税理士・CFPの宮路幸人氏が解説します。
「新NISA」まで待つのはもったいない!「現行NISA」と組み合わせると「最大1,920万円」非課税になる驚きのカラクリ【税理士が解説】 (※画像はイメージです/PIXTA)

“貯蓄から投資へ”…岸田政権の「大胆な決断」 

(※画像はイメージです/PIXTA)
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昨年9月、岸田首相が訪問先のニュ-ヨ-ク証券取引所で、「日本の株式市場を活性化させるためにはNISAを改正しなければならない」と訴えました。 

 

これは、日本の個人金融資産2,000兆円のうち2割未満しか株式や投資信託へ投資されていないことが背景にあります。欧米では個人金融資産のうち約5割が「株式等投資」に利用されているのに対し、日本は約5割が「預貯金」となっているのが現状です。 

 

また、岸田政権下においては「貯蓄から投資へ」の流れを加速させ、投資による資産形成を促すため「資産所得倍増プラン」が掲げられています。これを受け、昨年度末の税制改正大綱ではNISAについて大幅な拡充が行われることとなりました。 

 

では、そもそもNISAとはどういうものなのでしょうか? 「なんとなく聞いたことはあるけれどよくわからない」という方も多いと思いますので、簡単に確認してみましょう。 

 

NISAとは

通常、株式や投資信託などの金融商品に投資した場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当に対しては約20%の所得税がかかります。しかし、NISAの場合は「NISA口座(非課税口座)」内で、毎年一定金額の範囲内で購入していれば、これらの金融商品から得られる利益については、所得税がかからないという仕組みになっています。 

 

2013年までは、景気対策・株価対策のため「証券優遇税制」が適用され約10%課税でしたが廃止され、翌年2014年にまた20%課税に戻るときに、優遇制度が撤廃される代替措置の一つとして、イギリスのISA(IndividualSavings Account)という制度をモデルに家計の自助努力を促すように作られたのが日本版NISA(Nippon Individual Savings Account)です。 

 

NISAには現在、「一般NISA」と「つみたてNISA」、20歳未満が使える「ジュニアNISA」という3種類があります。 

 

一般NISA:株式・投資信託等を年間120万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。 
つみたてNISA:一定の投資信託を年間40万円まで購入でき、最大20年間非課税で保有できます。 
ジュニアNISA:株式・投資信託等を年間80万円まで購入でき、最大5年間非課税で保有できます。