シンガポールは世界的に見て、培養肉や培養魚などの研究・商品開発を行う、食品テック関連のスタートアップ企業が多数存在し、市場は急速に発展しています。なぜシンガポールなのでしょうか? また、わたしたちの食生活や未来をどのように変えていくのでしょうか? 詳しく解説します。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
シンガポールで急成長する培養肉・培養魚が未来の食卓を変える? 世界で代替肉が求められるワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

日本のファストフード店で食べられる代替肉

日本のファストフード店で気軽に試せる代替肉メニューにはどんなものがあるでしょうか? 「モスバーガー」では大豆由来の植物性たんぱくから作られた「ソイパティ」を使用した「ソイモス野菜バーガー」が2015年から発売されています。その他、「ドトールコーヒーショップ」では、同じく大豆由来の食材を使用した「全粒粉サンド 大豆ミート~柚子胡椒豆乳ソース~」が2021年から発売されました。ペースはゆっくりであるものの、日本でも代替肉メニューが着実に広まりつつあります。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

世界的にフードテックが注目される理由

環境への配慮が大きな要因の1つに挙げられます。食肉文化を支えている畜産業は、地球温暖化に影響しています。牛のげっぷに含まれるメタンガスは温室効果ガスの1種です。畜産業が排出する温室効果ガスは、産業全体が排出する温室効果ガスの4%にすぎないものの、同じく温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)と比べて、その温室効果は約25倍とも言われています。畜産が盛んなアメリカではいち早く取組みを進めており(参考:リンク(https://www.alic.go.jp/joho-c/joho05_000777.html)世界もそれに付随し、環境負荷の軽減が見込めるフードテックが現在注目されています。

シンガポールでフードテック市場が拡大している理由

シンガポールの食料自給率は10%未満にとどまります。そこで、シンガポール政府は食料自給率を2030年までに30%まで引き上げることを目指す「30×30」というプランを掲げています。シンガポール政府は代替肉・代替魚を始めとしたフードテック領域に、研究開発から生産・販売まで一貫支援しており、スタートアップ企業の進出を積極的に促しています。

 

 

こうした背景から、日本のフードテックベンチャー企業であるネクストミーツ株式会社は、シンガポールでの事業展開に力を入れています。現地の食肉加工企業と開発した植物性代替肉「NEXT Wagyu」は2022年から現地レストラン向けに展開されています。こうした植物性代替肉は大豆、エンドウ豆などの豆類を原料にしてつくられ、「プラント・ベース・ミート」と呼ばれています。