※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
「出社しているけど調子が悪い」状態、プレゼンティーイズム
プレゼンティーイズムは「しっかり寝たはずなのに眠い」「なんだか憂鬱」など、原因がはっきりしないものから、花粉症や睡眠時無呼吸症候群のように、原因や病名が判明しているものまで、勤務中に感じる心身の不調すべてを指します。
「なんだか気怠い」「頭がボーっとして集中できない……」――こうしたプレゼンティーイズムを含むスタッフ1人1人の健康状態は、生産性やパフォーマンスを大きく左右するのみならず、ひいては会社の損益や事業の継続性にも密接に関係しており、その影響は企業価値やブランド力にも及びます。
実際にプレゼンティーイズムによる経済的損失は国内で年間約20兆円(※1)といわれており、労働者1人あたりに換算すると年間約30万円になります。
(※12024年2月2日現在の1ドル=146.49円の為替で換算。参照元:米シンクタンクRANDCorporation)
一方、突発的な欠勤や休職は「アブセンティーズム」と呼ばれます。従来、企業の健康管理は病気などによる従業員の欠勤や休職(=目に見えやすい損失)の予防が中心であり、「出社はしているけれども調子が悪い(=目に見えにくい損失)」状態、つまりプレゼンティーイズムへの対応は、なかなか焦点が当たってきませんでした。
「スタッフの健康」×「経営戦略」=人的資本投資
昨今、企業を取り巻く経営環境は複雑化しています。外部環境の変化に応じて企業価値を高めるためには、従業員のもつ知識や能力を資本とみなして投資の対象とし、持続的な企業価値の向上につなげる、人的資本投資が重視されています。
人的資本投資における企業価値の向上においては、従業員の健康管理について、アブセンティーズム(病気などによる従業員の欠勤・休業)から、プレゼンティーイズムの段階でのより早いタイミングでのケアを重視する方向転換が必要です。
「人的資本投資の観点から、組織の生産性向上を達成するための経営参謀として、『産業医』を活用してもらいたい」と語るのは、企業向けオンライン診療サービス「FairClinic」を2023年にローンチした吉⽥健⼀医師(フェアワーク代表取締役会⻑)。詳しくお話を伺いました。