※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
共働き世帯にマッチしたコードレススティック掃除機
家電量販店の掃除機売り場に行くと、前面に押し出されているのがコードレススティック掃除機。今、掃除機を購入しようとしている人の中にも、コードレススティック掃除機を検討している人が多いのではないでしょうか。
かつて掃除機といえば、本体を床置きして使用するコード付きのキャニスター掃除機が主流でしたが、2000年代に入ってから徐々に市場にコードレススティック掃除機が出回り始め、2018年には販売台数でキャニスター掃除機と逆転。現在も移行が進んでおり、その差はますます広がっています。(※)
コードレススティック掃除機のメリットは、掃除を始めるまでのハードルの低さにあります。コードを伸ばしてコンセントに挿す手間も不要で、さっと掃除が始められるほか、キャニスター掃除機のように本体を引きずって家具に引っかかったり、移動するたびにコードを差し替える手間もありません。またスティック型でスリムなので、よく使う場所に出しっぱなしにできるのも、使用頻度を高めてくれる要素です。
このコードレススティック掃除機の登場は、社会情勢の変化に見事にマッチしました。というのも、専業主婦世帯数と共働き世帯数は1990年代に逆転し、2021年時点での共働き世帯は、全体の7割を超えるまでに増加。※かつてのように、家庭で家事にまとまった時間をかけられなくなったことから、すき間時間に掃除しやすいコードレススティック掃除機が受け入れられたと考えられます。
一方で、性能が年々アップしていることも、シェアを伸ばしている大きな要因の1つです。かつては吸引力が弱かったり、1回の充電で使用できるバッテリー駆動時間が短かったこともあり、「キャニスター掃除機をメインで使いつつ、ちょっとした掃除ではコードレススティック掃除機を使う」など、あくまでサブ掃除機の位置づけでした。
潮目が変わったのは2011年、ダイソンが吸引力が強くバッテリー駆動時間が長いコードレススティック掃除機「ダイソン デジタルスリム DC35 マルチフロア」を発売したこと。これを機に国内でも、パワフルで駆動時間が長いコードレススティック掃除機の開発が進んでいったのです。