シンガポールは世界的に見て、培養肉や培養魚などの研究・商品開発を行う、食品テック関連のスタートアップ企業が多数存在し、市場は急速に発展しています。なぜシンガポールなのでしょうか? また、わたしたちの食生活や未来をどのように変えていくのでしょうか? 詳しく解説します。※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。
シンガポールで急成長する培養肉・培養魚が未来の食卓を変える? 世界で代替肉が求められるワケ (※写真はイメージです/PIXTA)

欧米で急成長を遂げた代替肉市場

(※写真はイメージです/PIXTA)
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そもそも代替肉市場は欧米で急成長を遂げました。考えられる要因はさまざまですが、欧米の食文化には食肉が深く根づいており、USDA(U.S. Department of Agriculture)の調査によると、2020年時点における米国の食肉消費量は約900億ポンド(約 4,082 万トン)にのぼります。

 

米国の国勢調査(センサス)によると、米国の総人口は2020年4月1日時点で約3億3,000万人です。単純計算で1人当たり、年間123.7キロ消費しているということになります。

 

さらに、前述の調査では消費食肉量の約3分の1が牛肉を占めています。牛肉はたんぱく質、ビタミンB12、鉄分などが豊富に含まれ栄養たっぷりですが、主食であるパンやイモ類などの炭水化物に加え、脂質の高いメインディッシュを日々摂り続ける食事スタイルはカロリーオーバーを招きやすくもあります。実際に、欧米における成人の肥満率は、WHO(世界保健機関)の公表によると、31.8%にのぼります。すなわち、約3人に1人が肥満であるという計算になります。ちなみに、同調査で日本の成人肥満率は4.5%で、約22人に1人です。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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こうした背景もあり、欧米では近年健康意識が高まり、よりカロリーの低い代替肉が注目を集めました。それに伴い、代替肉やサプリメントの品ぞろえが豊富なオーガニックスーパーの普及も進みました。代替肉やオーガニック食品は既存のものと比較して高価な傾向にありますが、「健康に投資する」という概念が浸透した結果、両者ともに市場を拡大していきました。

全米のケンタッキーで代替肉チキンが発売

最近では、2022年に米ケンタッキーフライドチキンが、植物性代替チキン「ビヨンド・フライドチキン」を期間限定で発売したことが話題になりました。「ビヨンド・フライドチキン」はカリフォルニア州に本社を置く、アメリカの代替肉市場において高いシェア率を誇るスタートアップ企業「ビヨンド・ミート」が本商品のために開発した製品です。事前に行われた1日限定の試験販売では数時間で完売し、その注目度の高さが伺えます。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
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「ビヨンド・ミート」は2022年の秋に、傘下にマルエツ、カスミなどのスーパーを擁する日本企業「ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)」と独占契約を結んでおり、日本市場へも参入しています。