フードデリバリー業界の大手ウーバーイーツ(Uber Eats)がデリバリーロボットを導入し、2024年3月6日から実用化を開始しました。デリバリーロボットは自動運転の自律走行が可能で、歩行者や障害物を避けたり、信号を守って横断歩道を渡ったりしながら、注文を受けた食品を自宅やマンション、オフィスビルの入口まで運びます。楽天はECサイトの配送業務にデリバリーロボットを活用、フードデリバリーも行っています。また、川崎重工業、ティアフォー、KDDI、損害保険ジャパン、menu、武田薬品工業の6社は「オンライン診療と5G自動配送ロボット」の実証実験を2023年1月~2月に実施。オンラインで医師による診療と処方、薬剤師による服薬指導を行い、ロボットによって医薬品を個宅配送(自動配送)する仕組みです。各社がデリバリーロボットの実証実験と実用化に乗り出している背景には、2023年4月1日に、自動配送ロボットなど遠隔操作型小型車の交通方法などを規定した、改正道路交通法の施行があります。これにより自動配送ロボットの公道(歩道)走行がしやすくなりました。デリバリーロボットの最前線をお届けします。
ウーバーイーツがデリバリーロボットでの配送を開始! 楽天もつくば市で運用、医療分野でも期待 ~デリバリーロボット実用化の最前線~

※本稿は、テック系メディアサイト『iX+(イクタス)』からの転載記事です。

ウーバーイーツがデリバリーロボットでの配送を開始

ウーバーイーツ(Uber Eats Japan合同会社)は、三菱電機、Cartken Inc.と連携してオンライン・デリバリーサービス(ロボットデリバリーサービス)を2024年3月6日から開始しました。ロボットデリバリーサービスを提供するのは米国に続き、日本が世界で2カ国めとなります。

 

日本橋エリアの歩道を進むウーバーイーツのデリバリーロボット。機体のサイズは長さ71cm × 幅46cm × 高さ60cm。積載容量は最大27L、断熱性構造で温かい/冷たい商品にも対応できます(保温/保冷)。20kgまでの商品をデリバリーできます(UberEats社想定)。(著者撮影)
日本橋エリアの歩道を進むウーバーイーツのデリバリーロボット。機体のサイズは長さ71cm × 幅46cm × 高さ60cm。積載容量は最大27L、断熱性構造で温かい/冷たい商品にも対応できます(保温/保冷)。20kgまでの商品をデリバリーできます(UberEats社想定)。(著者撮影)

 

最初は東京都内の日本橋エリアに限定し、対応は2店舗、1台のロボットから始め、平日の10時から17時に限定して稼働します。最初は無理なく小規模で、安全優先で初めて、今後は利用状況やニーズに応じて、協力店舗やロボットの数を増やしていく考えです。

 

目立つ緑色に塗られたウーバーイーツのデリバリーロボットは6輪で自動走行します。歩道を走行し、走る速度は法定速度の5.4km/hです。ロボットに搭載したカメラとセンサーで周囲を確認し、障害物や歩行者があると停止したり避けて走行します(横断歩道と障害物の前では一時停止)。荒天を除き、通常の雨天には対応できます。

 

デリバリーロボットはCartken社の「Model C」をベースに、三菱電機が日本仕様にローカライズ。三菱電機グループで運用を担当します。車体に立っている旗の先には緊急停止ボタンがついています。(著者撮影)
デリバリーロボットはCartken社の「Model C」をベースに、三菱電機が日本仕様にローカライズ。三菱電機グループで運用を担当します。車体に立っている旗の先には緊急停止ボタンがついています。(著者撮影)

自律走行と遠隔操縦の組み合わせ、安全対策は何重にも

また、カメラ映像は遠隔の運用センターに送られていて、スタッフが安全に走行しているかを監視します。横断歩道の手前では一時停止し、信号の確認も運用センターのスタッフが行います。技術的には信号の判別は自動でできる機能を持っていますが、当初は念のためスタッフが信号を判断します。

 

トラブル時にはロボットのスピーカーを通じて、スタッフが周囲の人とコミュニケーションをとることができます。万が一深刻な非常事態が起こった場合は、警察や救急に連絡したり、スタッフが駆けつけたりなど、複数の安全サポート体制をとっています。

 

デリバリーロボットが配送できる状態にある場合に限り、通常のUber Eatsアプリから利用者はロボットを選択することができます。特別な追加料金はかかりません。ただし、エリアを限定した1台体制ですから、最初はなかなかロボットに依頼するのは難しいかもしれません。