資産運用をはじめようとしたとき、書籍やインターネット等を調べるとまずでてくるのが「長期・積立・分散投資をすれば、リスクを抑えながら安定した運用成績を出せる」という「投資の三大原則」でしょう。しかし、その三大原則にはそれぞれデメリットが存在すると、株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏はいいます。今回は「分散投資」のデメリットについてみていきましょう。
プロも実践する「分散投資」が、実は「最善策」とはいえないワケ ※写真はイメージです/PIXTA

「分散投資」のデメリット

うまくいったときは「集中投資」が大きく儲かる

しかし、そんな分散投資にはデメリットもあります。

 

分散投資の対極にあるのが、集中投資です。少数の銘柄に投資資金を集中させるのです。

 

そして当然ですが、それぞれの投資がうまくいった場合は、集中投資のほうが大きく儲かることになります。極端な話、1年で株価が2倍になる銘柄にすべての資金を投じていれば、資産は1年で2倍になるわけです。一方、投資先を分散すればするほど、そんなことはまず不可能になってくるでしょう。

 

「期待値(リターンの大きさ×そのリターンが実現する確率)」の大きいところに大きく賭ける、というのが賭けごとの基本だと思うのですが、集中投資の原理もこれに当たります。リターンが大きそうな銘柄、そのリターンが実現する確率が高そうな銘柄には、大きく賭けるべきというのが投資においても基本なのです。

 

逆にいえば、リターンの大きさやそれが実現する確率を見積もることができない場合は、そこに大きく賭けるのは危険です。したがって分散投資は、それらが見積もれない場合の、次善の策だといえるのではないでしょうか。

 

また、市場全体が割高になっている時に分散投資(特にインデックス投資)をするのも、危険だといえます。割高な株は今後値下がりする確率が高いとも考えられます。一転して市場全体が値下がりを始め、損失を被ることもあるのです。そして、それが何年も続く場合もあるでしょう。

 

つまり、「どこに、いくら、いつ賭けるべきか」が明確になっている場合は集中投資をしたほうがよく、そうでない時には分散投資が無難だ、ということではないでしょうか。

 

そして大きく儲けたい投資家は、あまり投資先を分散させすぎない方がよいのではないでしょうか。

「どこに、いつ、いくら賭けるべきか」が明確か否かで戦略も変わる

株式市場というのは不確実な世界であるため、投資先を分散させることにより、個別株それぞれの値下がりリスクを分散しておくことも重要です。

 

そして、分散投資を突き詰めた形としてのインデックス投資も、有効な戦略だといえます。

 

しかし当然ですが、個別株それぞれの投資がうまくいった場合は、そちらの方が大きく儲かることになります。また、市場全体が割高になっている時に分散投資(特にインデックス投資)をするのも、危険だといえます。

 

つまり、「どこに、いくら、いつ賭けるべきか」が明確になっている場合は集中投資をしたほうがよく、そうでない時には分散投資が無難だ、ということではないでしょうか。そして大きく儲けたい投資家は、あまり投資先を分散させすぎないほうがよいのではないでしょうか。

 

 

株式会社ソーシャルインベストメント 取締役CTO

川合 一啓