2023年1月に投稿された「年金」を含むツイートが何を契機に投稿されたかを考察するために、ツイートに含まれるリンクなどを分析。その結果、国会議員の年金保険料未納疑惑を伝えるツイートやWebページ、受給開始年齢に関する5ちゃんねる掲示板のスレッドや月額40万円の年金では足りないというテレビ番組の街頭インタビューを紹介するツイートなどが、多くの投稿者の投稿契機になっていました。ニッセイ基礎研究所の中嶋邦夫氏によるレポートです。
国会議員の年金保険料未納疑惑や受給開始年齢が年金ツイートの契機に…「年金」を含むツイートの投稿契機 (2023年1月) (写真はイメージです/PIXTA)

1―本稿の問題意識と分析対象:年金ツイートは、何を契機に投稿されたか?

ツイートとは、Twitterに投稿されるメッセージ(発言)である。文字数が、基本的に全角で140文字(半角で280文字)までと制限されており、「つぶやき」とも呼ばれる。近年はマスコミの報道や国会審議などでも取り上げられているが、ツイートには、熟考の上で投稿されたもの、反射的に投稿されたもの、宣伝や広報、プログラムによって投稿されたものなど、様々なものが混在している。

 

本稿では、「年金」を含むツイート(以下、年金ツイート)が何を契機に投稿されているかを考察するために、基礎的な投稿状況やツイートに含まれるリンクを分析した。分析対象は、2023年1月に投稿された年金ツイートのうち単純なリツイート等を除いたものであり(図表1)、投稿者自身の何らかの態度が示されているツイートと言えよう。

 

【図表1】
【図表1】

 

以下では、投稿状況の指標として、投稿数(ツイート数)と投稿者数を確認する。投稿数は、前述のとおり単純なリツイート等を含んでいない点に注意が必要である。投稿者数は、ユーザー名を集計区分ごとに名寄せした件数であり、同一の集計区分で同一のユーザーが複数のツイートを投稿していても1名と数えている。以下では、同一ユーザーからのプログラムなどを使った複数回投稿の影響を抑えるため、投稿者数を主な指標として見ていく。

2ー投稿契機となったツイート:5ちゃんねる掲示板やテレビの街頭インタビューが投稿契機に

【図表2】は、ツイートを契機として投稿された年金ツイートの、投稿日別の投稿者数の推移である。既存のツイートに対するコメントの投稿(返信ツイートや引用リツイートなど)が、この集計の対象である*1。図表2を見ると、1月20日(金)が最多で、18日と19日でも多くなっている*2

 

【図表2】
【図表2】

 

【図表3】は、年金ツイートの投稿契機となったツイートのうち、そのツイートを契機とした年金ツイートの投稿日別の投稿者数が上位10件に入ったものである。

 

【図表3】
【図表3】

 

最も多くの投稿者の投稿契機となったのは、5ちゃんねる掲示板の年金の受給開始年齢に関するスレッドを紹介するツイートだった。このスレッドのタイトルには受給開始年齢が含まれているが、このスレッドの1つめの書き込みは70歳までの就業機会に関するNHKの記事を引用したもので、このNHKの記事には年金の受給開始年齢に関する記載はなかった。

 

2番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、最も多くの投稿者の投稿契機となったツイートを紹介するツイートであった。

 

3番目に多くの投稿者の投稿契機となったのは、テレビ番組の街頭インタビューで、月額40万円の年金を受給している夫婦が足りないと答えたことを紹介するツイートだった。4番目に多くの投稿者の投稿契機となったツイートも、同じ内容を紹介したものだった。

 

また、18~19日と23~24日は、国会議員の年金保険料未納疑惑に関する報道を紹介するツイートが多くの投稿者の投稿契機となっていた*3

 

*1:あるツイートの返信ツイートや引用リツイートとして投稿された年金ツイートのほか、他のツイートのURLをツイート中のURL1つめとしている年金ツイート(※)も、ツイートを契機として投稿された年金ツイートとみなしている(2022年9~12月投稿分の分析では、※のタイプの年金ツイートをWebページを参照しているツイートとして集計していた)。なお、ツイートを契機として投稿された年金ツイート63,526件のうち、返信ツイートは51,216件、引用リツイートは11,924件、※のタイプの年金ツイートは386件であった)。

*2:平均+1~2以上の標準偏差を「多い」の目安にしている。以下同じ。

*3:【図表2】では1月20日が最多だったが、【図表3】には1月20日が含まれていない。この原因として、1月20日の投稿の契機となったツイートのうち、国会議員の年金保険料未納疑惑に関するものが前日や前々日よりも分散していたことや、同日に話題となったフランスでの年金ストライキに関するものも分散していたことが、挙げられる。