がん保険加入者のなかでも、付加していることが多い『先進医療特約』。所定の先進医療を受けると通算2,000万円を限度に、掛かった治療費分を給付金として受け取れるという内容の特約です。しかし先進医療特約には、加入していても知らない人が多い驚愕の真相があると、CFPの谷藤淳一氏はいいます。41歳で肺がんを患った公務員の女性の事例とともにみていきましょう。
41歳公務員の女性、肺がん手術後に知って愕然…「先進医療特約」の落とし穴【CFPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

早期の肺がん手術で入院…

東京都青梅市在住、公務員で事務職の41歳女性の吉川知美さん(仮名)は、2ヵ月前に受けた健康診断で異常を指摘され、精密検査を受けた結果、早期の肺がんが見つかりました。主治医からは手術でがんを切除することを提案され、「がんが治るのであれば……」と手術を受けることにしました。

 

手術は無事に終わり、主治医からきれいにがんは切除できたということを聞き、ひと安心。ただ今回受けた手術はメスを入れる範囲が広く、体へのダメージは大きいため、2週間程度の入院でリハビリを行う予定です。また肺の一部を切除したため、肺活量が低下し呼吸がしづらくなるなどの影響や手術痕が残ることなどが、今後気になるところです。

 

(※画像はイメージです/PIXTA)
(※画像はイメージです/PIXTA)

 

入院中にテレビで見た最新の「肺がん治療」

特にすることもなく、ベッドで療養中の吉川さん。夕方なんとなくテレビを眺めていたところ、17時ちょうどに新しい番組が始まったようです。メロディーとともに画面に映し出されたタイトルを見て

 

「えっ!?」思わず声が出ました。

 

始まったのは『切らずに肺がんを治す先進医療!~最先端がん治療最前線~』というタイトルのがん治療の特集でした。

 

「すごい偶然……」

 

気になった吉川さんは番組を見てみることに。紹介されていたのは、重粒子線治療といわれるもので、最新の技術を用いた放射線治療ということです。しかもその治療が行われているのは、吉川さんも知っている近くの病院でした。従来からある放射線治療と違って、体内のがんだけをピンポイントでたたくことができるというもので、副作用が少ないことがメリットのようです。

 

また手術のように体にメスを入れることもないので、体へのダメージも少ないことも特徴で、早期の肺がんであれば入院せずに1回の通院で治療が終わり、翌日には仕事に行けるというケースもあるとのことです。

 

「すごい、なにこの治療!」吉川さんは驚きました。ただ、この重粒子線治療による早期の肺がん治療ですが、現在は健康保険の適用となっておらず、先進医療として行われているとのことです。

 

そのため健康保険がきかず、約300万円の費用は全額自己負担ということですが「お金さえあれば、こんなにいい治療が受けられるの……?」などと画面を見つめながら感じていた吉川さん。ふとそのときあることを思い出しました。

 

「えっ先進医療!?」