昔は「老人ホーム=姥捨て山」だったが
長寿化がすすみ、昔よりも「元気な高齢者」は増えているものの、年を重ねるごとに健康不安は大きくなっていくもの。厚生労働省や総務省の調査によると、要支援・要介護認定者の割合は、70代前半で5.8%ですが、70代後半になると12.7%と8人に1人。80代前半では26.4%と4人に1人。80代後半になると2人に1人という水準になります。
実際に支援や介護が必要となったとき、誰がサポートしているのか、というと、54.4%が同居人で、配偶者が全体の23.8%、子どものが20.7%、子の配偶者が7.5%。また別居の家族等がサポートしているケースは全体の13.6%です。
身の回りに頼れる人がいればいいのですが、なかなか頼れる距離にいなかったり、身内だからこそ頼みづらかったり、事情はさまざま。そもそも「家族の手を借りること自体イヤ!」という人もいるでしょう。
支援や介護が必要になってから「さて、どうしようか」と考えると、自身も家族も負担でしょうから、そうなる前に万が一の時の対応を家族と話し合っておきたいものです。
そんななか、老後の暮らし方の選択肢としてあがるのが老人介護施設。かなり昔は“老人ホーム=姥捨て山”のようにいわれ、「親を老人ホームにまかせるなんて、人でなし!」といわれるような時代もありました。しかし最近の老人ホームは設備もサービスも充実し、なかにはホテルライクな生活がかなう施設も。
また介護が必要になってから入るところ、というイメージが強い老人ホームですが、健康な高齢者向けの施設である、健康型有料老人ホームも。いまどきの老人ホームは、昔のイメージからはずいぶんと変わってきています。
老人ホームの費用…ランニングコストは月平均11万円ほど
そこで気になるのが、費用の部分。
――そんなに素敵な生活ができるなんて、ずいぶんとお高いんでしょ
確かに老人ホームといってもピンキリ。「入居金なし」のところから「入居金だけで億単位」のものまであります。逆にいえば、自身のライフスタイルや資産背景によって、最適なところを選べる、ということです。またサ高住の入居者の平均年齢は84.2歳で、85歳以上が6割を占めます。
国土交通省の資料*1によれば、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の入居費用*2は全国平均10.8万円。大都市圏での施設では平均12.6万円、地方圏だと9.0万円です。
*1:国土交通省『第6回サービス付き高齢者向け住宅に関する懇談会』(2022年2月22日開催)資料
*2:家賃、共益費、必須サービスの費用合計。ただし必須サービス費用は、介護保険適用分(1割負担を除く)
一方、公的年金の平均年金額は、厚生年金受給者で月14万円ほど。元会社員や公務員であれば、月々の年金だけで平均的なサ高住に入居可能です。
もちろん、このほかに入居金が必要だったり、サービスには含まれない費用があったりするので、「11万円あればサ高住で暮らしていけます」とはいきませんが、「想像よりは安いな」と感じた人が多いのではないでしょうか。