保険営業に勧められるがまま、なんとなく入ってしまった保険はありませんか? 保障内容をよく理解しないまま契約してしまうと、後々悲惨な目に遇うケースは少なくありません。本記事では、勧誘を断り切れなかったAさんの事例とともに、1級FPの川淵ゆかり氏が解説します。
あなたのためを思って!「友人面」の保険外交員による執拗な勧誘…追い込まれた32歳・専業主婦の"悲惨な末路"【FPが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

憧れの女性の勧誘…「友情」が招いた悲劇

Aさんはある中小企業の課長を夫に持つ32歳の専業主婦です。結婚してまだ1年と少しで、夫婦2人で郊外のアパートに住んでいます。

 

ある日、買い物帰りになんとなく立ち寄ったカフェで1人寛いでいたところ、スーツに身を包んだキリッとした美人の女性が声をかけてきました。

 

「Aちゃんじゃないの?」

 

一瞬、あっけにとられたAさんでしたが、その女性をよく見ると、高校時代のクラスメートのBさんでした。大人しいAさんとは対照的に、Bさんは明るく、クラスでも人気の女性でした。高校時代から華やかなBさんにAさんは当時から憧れていましたし、男子生徒にからかわれていたときもBさんに助けてもらった恩もありました。

 

その日は昔話に花を咲かせてそのまま別れましたが、ある日、Aさんの自宅に手土産を持ったBさんが突然訪ねてきたのです。このときに初めてAさんはBさんが保険外交員だということを知ったのでした。

 

結婚後、バタバタしていて保険のことなど考えたこともなかったAさんでしたが、Bさんの「あなたのために設計してきたのよ」といったセールストークに押し切られ、「ひとつ入ったら納得してくれるだろう」とAさん自身の医療保険に加入しました。

 

しかし、Bさんはその後もなにかにつけて連絡してきたり、手土産を持って自宅まで訪ねてきたりします。その都度、さまざまな商品をすすめられ、学生時代に助けてもらったという気持ちも負い目になり、死亡保険や年金保険など保険料が高額なものまでAさんは加入してしまいました。

 

専業主婦で収入のないAさんは夫にもいえず、とうとう貯金を切り崩して高額の保険料を払い続けることになりました。

 

「Bさんは私のことを思って勧めてきてくれたんだから」と自分を納得させるも、Aさんはモヤモヤした気持ちを抱えたまま過ごすことになります。Aさんはどうしたらよかったのでしょうか?

本当に必要な保険か見極める

AさんはBさんのことを未だに「憧れの女性。私を守ってくれる友達」と見ていますが、Bさんはどうでしょうか? 

 

Bさんがすすめた商品は、Aさんにメリットがあると思って紹介した商品かもしれませんが、支払い能力を超えていたり、モヤモヤした気持ちを抱えさせてしまったりしていては、本当にAさんのことを思ってのこととは考えられません。自分本位のセールス対象となってしまっている危険性があります。

 

お互いの相手を見る目が違ってしまっていては、関係性は壊れてしまっているも同然です。Aさんは1人で抱え込まず、まずは身近な夫や保険が得意分野のFP等に相談して、そこで、「不要」と判断できたら正直に「解約したい」とBさんに伝えるべきです。Bさんが本当に友達思いなら解約に応じてくれるはずです。

 

読者の皆さんも「なんとなく入ってしまった保険」や「押し切られて入ってしまった保険」はないでしょうか? 保険証券を並べてみて契約したときのことを思い出してみてください。ただし、安易に解約を決めず、プロの目での保険の良し悪しや保障内容をしっかり説明してもらって決定するべきでしょう。